ジェントルメンの映画専門家レビュー一覧

ジェントルメン

実写版「アラジン」のガイ・リッチーが監督、ロンドンを舞台に繰り広げられる犯罪サスペンス。一代で大麻王国を築き上げたミッキーが大麻ビジネス全てを売却し引退するという噂が流れ、総額500億円の利権をめぐり、紳士の顔したワルたちの駆け引きが始まる。マリファナ・キングのミッキーを「インターステラー」のマシュー・マコノヒーが演じるほか、「キング・アーサー」のチャーリー・ハナム、「ダンボ」のコリン・ファレル、「コードネーム U.N.C.L.E.」のヒュー・グラントらが集結。
  • 映画評論家

    小野寺系

    軽薄なスタイルの犯罪映画から映画監督としてのキャリアをスタートさせたガイ・リッチー。20年も娯楽大作の最前線に身を置けば、その種の作品すら一種の貫祿を備えることを、本作が証明してしまった。さらに彼のアメリカでのキャリアは、米国から英国に乗り込んでくるマシュー・マコノヒー演じる男の存在に活かされ、中国マネーとともに階級社会を掻き乱していく。物語を入れ子構造にしたポストモダン風の取り組みは時代遅れの感もあるが、現在の社会が反映された点はスリリング。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    豪華なキャストのクライム・コメディーで、久々にG・リッチーの特徴を堪能。シンプルな筋書きに、エッジのきいたセリフ、様式化されたアクション。加えて、有名俳優の一人ひとりに印象に残る見せ場を提供し、しかもそれらを調和させながらストーリーに組み込んでいる。緻密な脚本構成による予測不可能な、初期の群像劇を思い出す。もちろん積み重ねた経験が醸し出す優雅さも画面に漂う。ここ数年は大作が続いたが、やはりリッチーは中規模作品でこそ持ち味の小気味良さを発揮する。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    ほぼ全篇通して悪徳記者の語りで進めてゆくスタイリッシュな構成と洒脱なセリフの応酬で何だか物凄く面白い映画を観ているような気分になれるのだけど、大麻プラントの利権を巡る権力者たちの物語は一本化させてしまえばさほど複雑でもないうえ新鮮味に欠けているし、終盤のどんでん返しの連続もおまけみたいに感じてしまい、恐らくガイ・リッチー好きには堪らない新作なのだろうが、この手の映画を楽しむ素養を充分に持ち合わせていない自分はあと一歩のところでノリきれなかった。

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