孤狼の血 LEVEL2の映画専門家レビュー一覧

孤狼の血 LEVEL2

暴力団対策法成立直前の広島を舞台に警察とやくざが壮絶な争いを繰り広げる「孤狼の血」の3年後を描いたバイオレンス映画。マル暴の刑事・大上の遺志を継いだ若き刑事・日岡は、権力を用い暴力組織を取り仕切っていたが、ある男の出所により事態が急転する。柚月裕子の『孤狼の血』シリーズ三部作をベースに、原作では描かれていない映画オリジナルストーリーを紡ぐ。前作から引き続き「凶悪」の白石和彌が監督、「新聞記者」の松坂桃李が刑事の日岡を演じる。また、日岡と火花を散らす悪のカリスマ・上林を「ひとよ」の鈴木亮平が演じる。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    星取り一回目でまさかの盟友の作品。「Vシネマならベストワン」と白石作品を評した人がいたが、今回もそれ以上の言葉が見つからない。敵は韓国映画というのは分かる。ただもう少しうまく嘘をついてくれないと。主人公ひとりで三年も広島ヤクザの抗争を抑えているなんて。しかも主人公を陥れるために警察が殺人鬼を野放しにしておくなんて。褒めてる人はその嘘に乗れたのか。小さな本当を積み重ねて、大きな嘘をつくのが映画じゃないのか。本物のベストワンを目指して欲しいと切に。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    ぞっとするような生々しいアクションが途切れない点、そこでしか生きていけない社会の底辺の人間たちに焦点があっている点で、第1篇より完成度は高い。役所広司の存在感が突出していた第1篇に比べ、きっちりとした群像劇になっている。暴対法施行が迫る平成3年という時代をよく映し、東映実録路線へのオマージュとしても説得力をもった。悪役の鈴木亮平がとにかく怖ろしく、松坂桃李、村上虹郎も好演。暴力や出自の問題から目をそらさない白石和彌監督の腹のくくり方が伝わる。

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