ナタ転生の映画専門家レビュー一覧

ナタ転生

中国の古代小説『封神演義』に登場する少年神ナタをモチーフにした3DCGアニメ。強力な魔力を持つ7歳の少年神ナタの生まれ変わりであるバイク好きの青年・李雲祥。だが、ナタに前世で殺された三太子の生まれ変わり・三公子が、恨みを晴らそうと雲祥の命を狙う。監督は、中国で大ヒットを記録した『白蛇:縁起』の趙霽。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    フルデジタル3DCGの画面の中、『AKIRA』の「金田のバイク」を思わせるバイクが暴れ回り、中国語ラップがけたたましく鳴り響く。良くも悪くも「お、おう。これが未来の映画か」と思わせるのに十分な導入部。中国神話のレファレンスやクリーチャーの造形も新鮮。あとは「ビデオゲームのオープニングCGみたいだな」というこちらの感覚が麻痺するのと、テクノロジーがそれを追い越す(ピクサーなどの一部の作品はもうそれを達成しているが)のと、どちらが先か。

  • ライター

    石村加奈

    病院周辺や墓地の景観まで、みっちり描き込まれた世界観は、アニメーションらしい見応えだ。東海龍王の眉毛から、龍の髭、猿の毛に至るまで、繊細な描写は秀逸。3千年前の回想シーンの、墨っぽいタッチも面白い。視覚的なドラマ構成が、主人公・李雲祥と少年神ナタが対峙する、クライマックスの余白を際立たせて、その後の転生の瞬間を大いに盛り上げる。東海龍王のアジト・龍宮の、龍の描写も迫力満点だが、仮面男(その正体にびっくり!)のアジトにいる小猿たちの描写が可愛い。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    中国神話『封神演義』を基にした3DCGアニメ作品だが、分割画面を多用した立体的なアクション描写と『少年ジャンプ』な展開で、その神話に馴染みがなくても入り込める。古典を独特の近未来的ヴィジュアルセンスで再構築して主人公の“逃れられない運命”を描く、ということで紀里谷和明監督の世界観にも近い。状況や心情を説明するような歌が入ったり、主人公がカメラ目線で喋ったりするが、それもあったりなかったりで特に統一感はない。謎の仮面男の正体はちょっとアガった。

1 - 3件表示/全3件