ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実の映画専門家レビュー一覧

ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実

ベトナム戦争の知られざる英雄の真実に迫る実話を基にした社会派ドラマ。1999年、ペンタゴン空軍省のハフマンは、30年以上も請願されてきた、ある兵士の名誉勲章授与の調査を行うことに。退役軍人たちの証言を集めた彼は、驚くべき陰謀の存在に気づく。出演は、「キャプテン・アメリカ」シリーズのセバスチャン・スタン、「ゲティ家の身代金」のクリストファー・プラマー、「栄光のランナー 1936ベルリン」のウィリアム・ハート、「ジオストーム」のエド・ハリス、「キャプテン・マーベル」のサミュエル・L・ジャクソン、「コンテンダー」のピーター・フォンダ、「戦火の馬」のジェレミー・アーヴァイン。監督・脚本は、「白い嵐」脚本のトッド・ロビンソン。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    33年前のベトナム戦争で殉死した兵士の調査をしていく実話。勝者の歴史と言われるものがあるのと同時に、敗者のそれや、忘却された、埋没した、消去された、声を持たない、様々な「歴史」が存在するはずだ。アメリカ映画界の重鎮の役者が勢揃い。彼らの証言や記憶を収集するプロセスは映画界へのオマージュとも重なる。国家の利益や戦争の勝敗を超えて、偉業を成し遂げ埋もれた英雄たちへの感謝と敬意、そしてその継承が底流にある今作は、どの世界にも共通する誠実さに満ちている。

  • フリーライター

    藤木TDC

    錚々たる名優が揃った映画だが、あろうことか、ピーター・フォンダのみならず、クリストファー・プラマーも本作が最後の実写作品となってしまった。ウィリアム・ハート、エド・ハリス、ジョン・サヴェージ、そしてサミュエル・L・ジャクソン。男性映画の星たちによる、いわば「戦争映画」への鎮魂歌だ。男性社会美化や戦争肯定など分かりやすい批判にさらされるテーマなのは充分に承知の上で、老優たちの顔に刻まれた深い苦悩と皴を見て、素直に涙ぐむことを許されていい作品と思う。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    本筋はある兵士がベトナム戦争で勲章を貰えなかった理由を、ミステリー風に辿っていく人道的な政治劇。物語の曖昧な輪郭は後半になって引き締まってくる。描写はあまり客観的ではなく、時間の経過もセリフで伝えられるのみなので、視野狭窄に陥って主人公の行動が把握できなくなりそうだったが、徐々にそれが癖になってきた。愛国の挺身ヒーロー映画にピーター・フォンダが出ている衝撃も、役柄の背負った闇で中和されている。安さもキャスティングのセンスの良さで救われている。

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