秘密への招待状の映画専門家レビュー一覧

秘密への招待状

スザンネ・ピア監督作「アフター・ウェディング」をハリウッドリメイク。インドで孤児院を営むイザベルの元に、NYの会社経営者テレザから大口寄付の話が舞い込む。テレザの娘の結婚式に呼ばれると、テレザの夫はイザベルの元恋人、新婦はイザベルの娘で……。インドで救護活動に人生を捧げるイザベルを「マンチェスター・バイ・ザ・シー』のミシェル・ウィリアムズが、NYでメディア会社を経営するテレサを「アリスのままで」でアカデミー賞主演女優賞に輝いたジュリアン・ムーアが演じる。ジュリアン・ムーアは製作も担当。監督は、ジュリアン・ムーアの夫で「理想の彼氏」などでメガホンを取ってきたバート・フレインドリッチ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    前提として、スザンネ・ビアのような既に評価が確立しているだけでなく、近年はアメリカの映画やテレビシリーズでも活躍してる作家の、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされたそれほど古くない作品をリメイクする意義がわからない。メインロールの男性二人を女性二人に入れ替えた本作は、結果的にバート・フレインドリッチ監督とその妻ジュリアン・ムーアのファミリープロジェクトのようなことに。カットバックの入り方などに顕著な演出面での勘の悪さも気になった。

  • ライター

    石村加奈

    ジュリアン・ムーアとミシェル・ウィリアムズ、クールな女優の共演が、原作からの設定変更を成功に導いた。ゴージャスな成功者から、死に怯えるすっぴん女への落差を、衒いなく演じ切ったムーア(たしかにレディー・ガガがよく似合う)。対するウィリアムズは、腹立ちのあまり、時々靴を脱ぎ、階段を駆けおりる程度の感情表現に終始(ムーアに振り回される役どころだから当然か)。曖昧なトーンの彼女が、ジェイに振られた後、部屋の鏡に映った自分を見つめる表情が印象的だった。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    06年公開の「アフター・ウェディング」のリメイクで、ミステリアスな展開から始まる練られたシナリオはほぼそのまま。オリジナルは、数奇な運命のもとで出会う男性2人の物語で、同じ女性を愛した者たちのある種の友情も描いていたが、本作は女性同士に変更、2人の関係は友情ではなく「母親」としての共感、繋がりに感じた。J・ムーアとM・ウィリアムズがその過程を丁寧に演じていて、それぞれの人生が回想を入れずに立体的に描かれる。冒頭とラストの長回しの空撮も気持ち良い。

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