カポネの映画専門家レビュー一覧
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
映像体験とは視覚の痕跡を自身の内に反芻し事後に立ち現れる現象とも言えるが、晩年のカポネを扱った本作も自身の数々の体験の反芻による幻影や亡霊との対峙として描かれている。D・リンチの撮影監督を迎え、虚実混交の非線形的な物語として仕上げた。アール・デコに象徴される栄華を極めるアメリカ黄金期。ひとりのカリスマがのし上がりいずれ失脚する姿は、つい最近のアメリカ最高権力者を想起。家族や身内を大事にする姿勢は憎めない普遍的な人間像として伝説化される。
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フリーライター
藤木TDC
戦慄的怪作。観賞中、T・ハーディは本作でラジー賞獲ってしまうかもと困惑させる。歴史上もっとも有名なギャング役は役者冥利、しかも最晩年の認知症状態を演じる挑戦に燃えない俳優はいないだろう。二枚目に期待される像と対極にあるオムツ姿の徘徊や便失禁中の恍惚表情の出来にハーディ自身は「俺はやったぜ!」と満足したかも。けれど、そんな彼の姿をどれだけの観客が望むのか。脚本もひどい。監督の狙いは自分を干したハリウッドにクソを投げつけることではと裏読みを誘う。
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