バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったらの映画専門家レビュー一覧

バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら

名脇役たちが実名で出演するTVドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズの劇場版。100人を超す役者で賑わう撮影所バイプレウッド。濱田岳ら若手俳優たちは犬を主役にした映画を撮影すべく奮闘するが、ベテランたちをも巻き込んだ様々なトラブルが巻き起こり……。「#ハンド全力」の松居大悟が、メイン監督を手がけるTVドラマ版から引き続き本作を監督。田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一ら総勢100人の名だたる脇役たちに加え、菜々緒、有村架純、天海祐希らが出演する。
  • フリーライター

    須永貴子

    俳優のパブリックイメージを正しく利用したモキュメンタリー。これだけ名前の通った俳優100人のスケジュールを確保し、連続ドラマと映画を(おそらく)並行して撮影した制作サイドの有能さは称賛されるべき。「銀河鉄道の夜」的な劇中劇に絡めて、撮影スタジオを車両に見立て、芝居には答えも終わりもないから旅をし続けるという、俳優のロマンや業を映し出すオチも染みる。祭りが生者と死者が触れ合う場所であるならば、このお祭り映画は、一足先に星になったあの人への餞だ。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    高視聴率を上げていたテレビドラマを映画にしたいと申し出たことがあった。が、それを書いていた超大物脚本家は「あれはテレビで只で視せる代物。映画なんておこがましい限りです」と言って映画化を断った。「奇跡が降る街」という米映画は、バイプレーヤーばかりを集めて作った得も言われぬ傑作だった。いずれも本物のプロフェッショナルなのだ。この映画を観ていると悲しくなってくる。集められた役者たちが気の毒である。映画というよりまるで同窓会。そこで余興をやらされている?

  • 映画評論家

    吉田広明

    映画撮影が主軸となるが、その映画が何のために撮られているのか不明なため、その実現に向けて皆が一致団結という流れに説得力がない。外資のスタジオ買収という背景も大した意味はない。ただ脇役の人大勢で映画を作るというアイデアだけが根拠で、それでも話に曲折があり、俳優たちの群像劇になればいいが、ただ知った顔が、どこかで見たようなドラマ現場に現れ続けるだけの平板さ。100人出演と言うが、その100人の数合わせに引き出された脇役たちに対しても失礼な映画だと思う。

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