総理の夫の映画専門家レビュー一覧

総理の夫

山本周五郎賞や新田次郎文学賞を受賞した作家・原田マハの20万部超えのベストセラー小説を原作に、田中圭と中谷美紀が「日本初のファーストジェントルマン」と「日本初の女性総理」となった夫婦を演じる先取系(?)政界エンタテインメント。内閣広報担当に貫地谷しほり、イケメン総理秘書に工藤阿須加が扮するほか、松井愛莉、木下ほうか、米本学仁、嶋田久作、片岡愛之助、余貴美子、岸部一徳など、癖の強い俳優たちが脇を固める。日本初の女性総理大臣として神々しい美しさで登場する凛子役・中谷美紀に対して、鳥類学者で無精ひげ、恰好をまったく気にしない日和役・田中圭の丁々発止が小気味いい。マスコミの突撃を受けて自身が“日本初の”ファーストジェントルマンとなったことを知り、驚きを隠せない日和に、「驚かせてごめん」と言う凛子だが、“監視”、“追っかけ”、さらには“スキャンダル”まで数々のピンチが日和に降りかかる。果たして、日和と凛子はこの“歴史をも動かす”ピンチを乗り越えられるのか?
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    想像以上の酷さ。「政治色よりかは、夫婦のあたたかいハートウォーミング」と監督。それ、この題名の映画作る意味ある? しかもこのクソ政権下で。案の定、政治にもジェンダーにも批評性のカケラもない。政治色を出さないことは政治を考えないことではないはず。勝負の選挙演説、生徒会か。妊娠して辞任って、世界に恥ずかしくないか。ノンポリという名のポリティクスこそが現状維持に加担するという最たる見本。これを面白がる人がいるのか。エンタメ舐めすぎ。★はつけたくない。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    中谷美紀の初代女性総理はさまになっているし、田中圭の夫も面白い。でもせっかくのタイムリーな題材が生きないのは、細部にリアリティーがないから。仕事も、政治も、生活も、育児も、出産も絵空事。稚拙な政治ドラマに延々とつき合わせて、仕事をバリバリする女性とその夫の関係という肝に焦点が絞れない。行き着くところは出産と仕事の両立の可否。ポリティカルコレクトネスに反すること自体は結構だが、あえて物申すに足る説得力がなければ絵空事はますます空疎になる。

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