おとなの事情 スマホをのぞいたらの映画専門家レビュー一覧

おとなの事情 スマホをのぞいたら

イタリア製コメディ「おとなの事情」の日本版リメイク。3組の夫婦と1人の独身男性が集まったパーティの最中、「スマホに届くメールと電話のすべてを全員に公開する」というゲームが始まる。それぞれに秘密を抱えた7人は、着信のないことを祈るが……。出演は「曇天に笑う」の東山紀之、「海辺の映画館―キネマの玉手箱」の常盤貴子、「カノン」の鈴木保奈美。
  • フリーライター

    須永貴子

    パーティーに参加した七人の関係性を観客に伏せたことで、彼らへの好奇心が持続。スマホ公開ゲームが各人の秘密を顕にし、パーティーが混沌を極めた末に、脛に傷持つ者同士がお互いを許し合い、なんだかんだでいい話に着地する。か弱いふりをしてゲームを提案し、他の六人を煽って追い込むゲームマスターの邪悪さを誰も追及しない。キャラクターのこの扱い方も、幕引きのぬるりとした優しさも非常に日本人(日本映画)的で、他国のリメイク版と比較してみたくなった。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    予備知識なく観ていたら、舞台劇の映画化なのかと思った。しゃれた設定で、岡田惠和さんはこういう脚本も書くんだなと興味深かった。が、2016年に日本でも公開されたイタリアの大ヒット映画のリメイクだそうだ。ワンシチュエーションドラマゆえに、どうしても舞台臭さは残る。だが、ささやかな一通のメールから夫の、妻の、友人の、娘の、父の、母のそれぞれの人生とその綻びが見えてきて、とても心地よく観させてくれる。加えて、俳優陣がいい味を出してくれている。

  • 映画評論家

    吉田広明

    日本版がどれだけオリジナルな点を有するのか、元を知らないので分からないが、いずれにせよ携帯をオープンにするのは使用者の誰にとっても危険な事態であることは疑いようがなく、それをあえてやろうとする筋立てには初めから無理がある、とはいえそれを言っては話が始まらない。怖いもの見たさということも人間にはある。秘密が暴かれるが、雨降って地固まる展開なのだろうな、とは予め想像がつき、そのTVドラマ風安定のパターナリズムが好きな人には面白いのだろう。

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