樹海村 じゅかいむらの映画専門家レビュー一覧

樹海村 じゅかいむら

2020年に大ヒットした「犬鳴村」に続く“恐怖の村”シリーズ第2弾。古くから人々を戦慄させてきた禍々しい呪いが、不気味で壮大な樹海の奥深くに封印されてから13年。響と鳴の姉妹の前に、“あれ”が出現。そして、樹海で行方不明者が続出する……。出演は「ジオラマボーイ・パノラマガール」の山田杏奈、「太陽の家」の山口まゆ。監督は「犬鳴村」に続き、清水崇が務める。
  • 映画評論家

    北川れい子

    前回の「犬鳴村」もそうだったが、清水監督は差別や偏見で見捨てられた人々の恨みやつらみを恐怖化して描く傾向がある。それと軽薄で物見高い野次馬達。今回は負のイメージが付いて回る樹海村を舞台に、あれやこれやの情報と小道具を使って恐怖を演出しているが、主人公姉妹が恐怖に関わるきっかけが全く不明で、特に統合失調症だという妹のその要因は何が何やら。樹海の映像にいまいち迫力がないのも残念だが、怖がりたい人が見るには、タイトルだけで充分ってことなのかも。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    清水監督も述懐しているように、この非常事態下の影響か、前作「犬鳴村」とくらべると、「人のつながり」に対する作り手の切迫感が段違い。若者たちの微妙に噛み合わない関係性や統合失調症といった要素を真摯に突きつめていく中盤までは(人が気前よく死にすぎるのが些か気になるけれど)目を瞠る。が、視覚効果と物量勝負で押してくる終盤の展開で一気に冷めてしまった。YouTuberの表層的な扱いやこれみよがしな前作へのセルフオマージュもただ緊迫感を殺ぐ結果に。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    樹海の出てくる作品、ずいぶん見た気がする。これは決定版にするくらいの気合いで臨んだものだろうか。新旧の、恐怖の土壌に貪欲に向かい、既視感などに臆さないのが、清水ホラー。強引に話を運び、呪いの元となる過去の惨劇をできるかぎりおぞましいものにする。こうなったら、人が人に対してやってきた非人道的なこと全体への大いなる批判を魔の力の根拠にしたいところ。もう一息か。ここではコトリバコだが、都市伝説と若者たちの扱い方、やはりなにかなぞる感じになるのが弱い。

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