ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷の映画専門家レビュー一覧

ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷

「死霊のはらわた」のサム・ライミ製作のホラー。森林地帯で腐敗死体が発見され、マルドゥーン刑事とグッドマン刑事がかけつける。遺された所持品から死体の住所が明らかになると、そこは、2年前にグッドマン刑事が担当した“ランダース事件”の現場だった。出演は、「ナンシー」のアンドレア・ライズボロー、「エイリアン コヴェナント」のデミアン・ビチル。監督・脚本は、「ピアッシング」のニコラス・ペッシェ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    製作のゴースト・ハウス・ピクチャーズは2004年の清水崇監督によるハリウッド版「THE JUON/呪怨」からスタートした会社で、近年は「ドント・ブリーズ」などのヒットも出しているが、どうしてそんな社のオリジンにかかわる大事なフランチャイズを、こんな生煮えのかたちでリブートしてしまったのだろうか。ニコラス・ペッシェは前作の「ピアッシング」もそうだったようにすべてのシーンを不穏さで塗りたくってしまう困った監督で、根本的にホラー映画の監督に向いてない。

  • ライター

    石村加奈

    事件の舞台となる幽霊屋敷の劇的なおどろおどろしさ! 血しぶきを浴びたステンドグラスの模様がドクロに見えたりもして!? しかし、夫の死という現実から気を紛らわすべく、先輩刑事の忠告も聞かず、連鎖する殺人事件にのめり込んでいく主人公・マルドゥーン刑事のキャラクターがふんわりしすぎて、没入感を損ねている。守るべき息子をわざわざ屋敷の前まで連れて行ったり、禁煙をやめてしまったりと、甘い設定にアンドレア・ライズボローのクール・ビューティが台無し。勿体ない。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    東京の“ある家”からアメリカの“ある家”に「呪い」が持ち込まれ、それに感染し連鎖していく3家族の悲劇。3つの時系列を同時進行で描くのだが、ジョン・チョーなど演技巧者が多数出演しているのもあり、それぞれの家族のドラマは余韻を残す。しかし謎を追求する刑事側の行動に「?」が多く、サスペンスとして広がるはずの構成がうまく機能していない。ホラーとしても既視感ある展開で、配信中のドラマ版「呪怨」が疑似実録物という新たな角度から構築していただけに、残念。

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