DUNE デューン 砂の惑星(2020)の映画専門家レビュー一覧

DUNE デューン 砂の惑星(2020)

1965年の発売以来、「スター・ウォーズ」「風の谷のナウシカ」などに影響を与えたフランク・ハーバートのSF小説『デューン』をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。砂に覆われた惑星“デューン”を舞台に主人公の運命と宇宙世界の混迷を軸に壮大なドラマが展開する。この小説は1984年にデヴィッド・リンチ監督がカイル・マクラクランを主演に迎え、「砂の惑星」として映画化している。今回、主役のポールを演じるのは、「君の名前で僕を呼んで」で21歳にしてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、「ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」や「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」など話題作が続くティモシー・シャラメ。「本物の映画スターで、狂気のカリスマ性がある」とドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に絶賛される新世代ハリウッドスターだ。ティモシーの脇を固める俳優陣には、「スパイダーマン」シリーズのゼンデイヤがポールの夢の中に登場する謎の美女チェイニーを熱演するほか、「アクアマン」でおなじみジェイソン・モモア、アカデミー賞俳優ハビエル・バルデム、アベンジャーズの宿敵サノスを演じたジョシュ・ブローリンが、ポールを全力サポートする腹心を演じる。また、「スター・ウォーズ」続三部作ポー・ダメロン役のオスカー・アイザックと、「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」のレベッカ・ファーガソンがポールの両親役で登場する。ベールに包まれた特別な<力>を持つとされるポールと、ポールが師と仰ぐジョシュ・ブローリン演じるガーニー・ハレックの剣術訓練をはじめとしたアクション・シーンや、荒涼とした砂の惑星に降り立つ無数の軍艦、暗雲の下で地の果てまで続くかのような敵勢の立ち並ぶ様子は圧巻だ。死と隣り合わせの惑星デューンでポールに何が待ち受けるのか。ひとりの若者が自らの宿命を知り、運命を切り開く新世代アクション・アドベンチャー。
  • 映画評論家

    上島春彦

    これは「パート1」なのでそのつもりで。いかにも、植民地からの叛乱という事態が世界を覆っていた60年代に書かれた原作ならではの展開。同時にP・K・ディック『火星のタイムスリップ』にも通じるトリップ感覚がキレ味よろし。主人公の王子は他者を内面から統御する「ヴォイス」と呼ばれる超能力を王の愛妾である母から受け継いでいる。父からではなく。王位継承譚とは言いながらそこは微妙にねじれているとも見える。ワーム(「ナウシカ」で言うところの王蟲)の造形も秀逸なり。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    ドゥニ・ヴィルヌーヴによる過去の諸作品に見られた作家性が随所に鏤められた未知な世界観への没入体験が続く155分間。デイヴィッド・リンチ版は荒唐無稽さとクリーチャーのリンチ的な造形だけが記憶に残る怪作で、同じ物語でもここまで高尚かつ壮大な次元に押し上げられるのかと、『DUNE』の映像化でこれ以上のものはないのではと思わされた。ティモシー・シャラメの顔貌がそこに負けずに存在している。ただ、物語自体は何をやっているのかまったくわからない。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    まずはスター・ウォーズ・サーガにつづく歴史的SF映画が同時代に誕生したことを言祝ごう。冒頭から電子の砂嵐に巻き込まれるような感覚をもたらすこの映画の音像は「プライベート・ライアン」以降屈指のものであり、画は凡百のアクション映画にありがちな、記号としての画ではなく、細やかな演出を通じ役者ひとりひとりの実存をしっかりとすくいとっている。画と音の力を等しく信じ、映画の可能性を少しでも拡張せんと愚直にあがく毎分毎秒にわたしは感動せずにはいられなかった。

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