フード・ラック!食運の映画専門家レビュー一覧

フード・ラック!食運

芸能界屈指の食通であるお笑いタレント、寺門ジモンが“食”をテーマに初監督に挑む異色作。下町の人気焼肉店・根岸苑を切り盛りする安江。一人息子・良人の毎日の楽しみは、母の手料理を食べることだったが、ある事件がきっかけで店は閉店、良人は家を飛び出す。出演は「HiGH&LOW」シリーズのEXILE NAOTO、「累 かさね」の土屋太鳳。
  • 映画評論家

    北川れい子

    焼肉映画を観に行くよりも、焼肉を食べに行きたい!! おっと、それを言っちゃっちゃあ、ダメか。ともあれ、劇中に登場する数々の焼肉に関しては文句なし、美味そう。そういう意味では空腹時には向かない映画である。それにしても、セリフがあるのにあれこれ画面に字幕を入れる演出が実にうっとうしい。焼肉に関するプロ的なウンチク。主人公となるフリーターが出会う店主たちのこだわりや技は、業界ネタとしてワルくないが、音楽が浪花節の合いの手のようなのもズッコケる。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    料理を扱った映画のむつかしさは、なによりも画面のなかの料理がことごとく美味しそうに見えないという根本的な問題に起因する(たとえば料理そのものをふんだんに画面に登場させた伊丹十三の「タンポポ」と、実際には料理以外の要素が映画を動かしていく森﨑東の「美味しんぼ」を比較してみるがいい)。とすれば、いやというほど肉を画面に映し出してみせたこの映画の出来は推して知るべしで、テロップの多用含めTVの安っぽいグルメ番組以上のものがなにひとつない。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    おいしいものを大事に味わって食べているとよいことがおこり、その連鎖で人生が充実していく。「食運」ってそういうことであってほしいが、「食通」の寺門監督、食をめぐる幸福のほんの一部しかわかっていないような作り方だ。子ども時代に料理人だった母の作る焼肉を食べてそれで味のわかる力と知識をもった主人公だが、悔恨からか、基本が浮かない顔。声もよく出ていない。母に対して悪いことをした。その母は重い病気だ。早く謝りに行け、だろう。最後に出される意見もかなり平凡。

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