ようこそ映画音響の世界への映画専門家レビュー一覧

ようこそ映画音響の世界へ

    ハリウッドの映画音響に焦点をあてたドキュメンタリー。その進化において大きな偉業を残した「市民ケーン」「鳥」「ゴッドファーザー」などの名作から映画音響の歴史を紹介。さらに、スペシャリストたちと共に“音”が映画にもたらす効果と重要性に迫っていく。出演は「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストローム。
    • 映画評論家

      小野寺系

      トーキー出現以前からの映画音響の歴史を追いながら、音楽、効果音、音声の3つの大きなカテゴリーに映画音響の作業を分類しつつ、さらにそれを細分化した9つの要素で紐解いていく大労作。さらに「スター・ウォーズ」の効果音を担当したベン・バートはじめ、音に情熱と創造力を注ぐ人々の姿をとらえるなど、この一本で映画音響における概要を全て網羅しようという試みがすごい。ただ、ここでの詳細な解説が映画の“魔法”をたね明かししてしまう面もあるので、注意すべし。

    • 映画評論家

      きさらぎ尚

      ひと口に映画の音響といっても、セリフ(同時録音orスタジオでのアフレコ)、音楽、効果音(ナマ音or作られたSE)があり、各作業はそれぞれに複雑である。このドキュメンタリーは映画におけるサウンドを解りやすく紐解く。サイレントからトーキーになり、さらにフィルムからデジタルに。変遷した音響の、クリエイター、もしくはエンジニアたちの話は面白く為になる。個人的には肩に食い込むナグラの重さ、幅広の磁気テープ、スタジオのコンソール等々、70年代の仕上げ作業を回顧。

    • 映画監督、脚本家

      城定秀夫

      作中の名だたる監督、技術者たちが異口同音に語っているように、映画にとって音というものは映像と同等、あるいはそれ以上に重要であるにもかかわらず、音楽以外の音については語られる機会が多いとは言えず、かくいう自分も実作者として映画に携わる前は音響効果の奥深さを理解していたとは言い難いのですが、出資サイドに冷遇されがちな音響デザイナーの地位向上のためにも、この映画をきっかけに足音ひとつにも映画人の魂が宿っていることを広く知ってもらいたいと切に願います。

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