ワーニング その映画を観るなの映画専門家レビュー一覧

ワーニング その映画を観るな

“史上最恐のホラー映画”の謎に迫る男の運命を追った韓国発のオカルトミステリー。ホラー映画の脚本を2週間で仕上げるようにプロデューサーから厳命された映画監督のミジョンは、心臓発作で死人まで出たという呪われたホラー映画の噂を聞きつけ興味を抱く。出演は「王の運命 歴史を変えた八日間」のソ・イェジ、「エクストリーム・ジョブ」のチン・ソンギュ。特集企画『夏のホラー秘宝まつり 2020』にて上映。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    ジャンルへの自己言及を好むのはホラーの作り手の万国共通の傾向だが、「エクソシスト」から「ブレア・ウイッチ・プロジェクト」まで多くのホラー映画のタイトルが飛び交う本作もそんな系譜にある一作。もっとも、直接的なレファレンスとして頻出するのはJホラー、特に中田秀夫の「女優霊」や「リング」だったりするのだが。筋立てと序盤はいいのに、肝心の恐怖描写にオリジナリティがなく、展開も尻すぼみになっていくのは近年の韓国ホラーに多くみられる課題だ。

  • ライター

    石村加奈

    ホラー映画のヒロインとして、百点満点のソ・イェジの佇まい(声のトーンも低くて素敵)に魅せられて、ストーリーにぐいぐい引き込まれていく。ヒロインに「生きてること自体がホラー映画になるぞ」と迫る、伝説の映画監督を、チン・ソンギュが鬼気迫る怪演で体現する。劇中に登場する、廃墟と化した映画館が、実際に心霊スポットとして知られる場所と知れば、恐怖度も増すというもの。警告を象徴する赤いランプが印象的に使われるが、ホラー映画なのに、照明と音設計が雑なのが残念。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    「映画制作についての映画」というお馴染みのメタフィクションだが、これがホラー独特の後味の悪さとはまた違う、実に嫌な作品だった。本作は、ジャンル問わず、映画を作ること、公開することで制作者が対峙する葛藤、そして“恐怖”を再現している。某映画公開10年後に巻き起こった「面白ければ何をやっても良いのか」という議論も思い出したが(本作の劇中映画も10年前の作品という設定だ…)「映画」の罪深い側面を「映画」で突きつける多重のメタ構造が見事。

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