ブラック アンド ブルーの映画専門家レビュー一覧

ブラック アンド ブルー

「007」シリーズのナオミ・ハリス主演のポリス・アクション。警察官として働く退役軍人のアリシアは、ある日、先輩警察官とともに通報があった現場に急行する。そこで警察官が麻薬の売人を殺害する場面を目撃し、口封じのために同僚から追われる身となる。出演は「ワイルド・スピード」シリーズのタイリース・ギブソン、「スカイライン 奪還」のフランク・グリロ。監督は、「侵入する男」のデオン・テイラー。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    ハリケーン・カトリーナによってコミュニティが破壊されたニューオリンズに、アフガニスタンから帰還して警官になった主人公が戻ってくる。彼女が聴くのはクリスチャンラッパーのレクレイ、〈ウェルカム・トゥ・アメリカ〉。なるほど、背景にあるものも問題意識も焦点が定まった行儀のいい作品だが、もはや古典的な「警官の内部告発もの」という枠組そのものがアメリカでは無効なのではないか。ジョージ・フロイド氏の事件以前に公開された作品であることを踏まえても。

  • ライター

    石村加奈

    故郷ニューオリンズに、警官として帰ってきたヒロイン・アリシアが、警察組織にも、昔の仲間にも頼れず、孤軍奮闘する。意に反して巻き込まれてゆく旧友マウスが、遂にヒロインの名前を叫ぶクリアな声、その直後、マウスが拉致される瞬間を目撃したヒロインの届かぬ絶叫、巧みな音響設計が物語を盛り上げる。ハリケーン・カトリーナの被害を含め、母の死後、天涯孤独となったヒロインの半生を、もう少し丁寧に描けていれば、彼女の屈強な精神が無謀ではなく、迫真に見えたのではないか。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    腐敗した警察内部の者たちによる犯罪に巻き込まれ、仲間と対立してでも正義を貫く警官の孤軍奮闘を描く作品、というと「16ブロック」「トレーニング・デイ」なんかを思い出したが、この2作同様、本作も“限定された地域での約一日の物語”だ。中盤以降、ギャングの間抜けな行動など「?」な展開も多々あるが、最後まで一定の緊張感が続くのは、そのある種ジャンル化された設定、そしてハリスの緩急をつけたリアリティのある演技によるところが大きい。

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