鬼手の映画専門家レビュー一覧

鬼手

クォン・サンウが3か月以上のトレーニングを積んで6キロ以上の筋肉を増量し、孤高の天才棋士に扮したバイオレンス・ノワール。家族を失い、天涯孤独の身となったグィスは、生前の父から伝授された碁の腕を磨き、最強棋士ファン・ドギョンへの復讐に挑む。共演は「アジョシ」のキム・ヒウォン、「ゴールデン・スランバー」のキム・ソンギュン。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    さすがの韓国。まるで日本の少年コミックから出てきたような超人的主人公、その世界観とテンポ。物語の「目的」と「動機」の関係がちょっと安直な気もするが、お子様エンタメとしては十分すぎで申し分ない。撮影や音楽、演出、サウンドデザインはエンタメ系クリストファー・ノーランを目指しているのか(笑)。囲碁の知的思考からバイオレンスアクションまで主人公を超越的に成長させる修行の数々。これを見て少年たちは部活にやる気を出すのだろうか。まあ楽しいから良いのか。

  • フリーライター

    藤木TDC

    孤児が異能の師に学び成長する定番路線のダーク版。囲碁のルールや戦術の知識は必要なく、日本の麻雀Vシネマをグレードアップさせたような荒唐無稽な劇画調でサンダル履きで気楽に観るには最適。スチームパンクな殺人碁盤や往年の成人映画館を思い出させる汚い便所での格闘シーンなどオッサン向け趣向に驚喜し、見事な悪役顔を揃えた俳優陣にウットリしてるとアッという間に映画は終わる。B級娯楽作が好きな読者のために★ひとつオマケ。2本立て公開ならさらに嬉しかったが。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    「神の一手」のスピンオフで、本作も変わらず『魁!!男塾』のような過剰で突拍子のない内容だ。囲碁の天才たちとやくざ社会のルールが当然のように同化している設定と、とち狂った物語に負けない俳優たちの強い個性を持った顔。その真摯な演技。囲碁で横のつながりを持つ裏社会の、戦いのすべてが碁盤で行われるのは几帳面でミニマムだが、まるで凝視したら絢爛豪華な世界が広がって見える覗きからくりのよう。韓国映画らしい珍奇さとはいえ、哀愁や思慕なども印象に残る。

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