カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇の映画専門家レビュー一覧

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇

H・P・ラヴクラフト原作、ニコラス・ケイジ主演によるSFドラマ。田舎に移住し理想の生活を始めたガードナー家。だがある日、前庭に隕石が落下。以来、一家は心と体に影響を及ぼす地球外変異体との闘いに明け暮れ、日々の暮らしは極彩色の悪夢へと変わってゆく。共演は「マギー」のジョエリー・リチャードソン、「ビッグ・アイズ」のマデリン・アーサー。監督は「ハードウェア」のリチャード・スタンリー。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    ラヴクラフト原作。製作会社も監督も強い個人的な想いが充?されたプロジェクトであることが窺え、まずは完成を祝福したい。ここまで想いが強いともはや批評なぞ介在する余地はないのだが、敢えて私見を述べれば、どのシーンもこだわりが目立ち過ぎて、全体像や骨格が見えてこない。ホラー、サスペンス、SFでもいかなるジャンルにおいても、その形式を超えた背後にあるメッセージや同時代性などがあるはずだ。しかしそれらが皆無。その底なし沼感がラヴクラフト的なのか。

  • フリーライター

    藤木TDC

    模倣と陳腐と悪趣味をたっぷり盛り込んだB級SFの模範作。「D.N.A.」の監督を3日でクビにされたリチャード・スタンリーを復活させた点でもジャンル映画好きは観る価値あり。宣伝文は「物体X」に例えているが、「未知との遭遇」「ポルターガイスト」そして「2001年宇宙の旅」などの邪悪な引用も目につく。それ以上にニコラス・ケイジの意味不明的なヒステリー演技が映画のムードを強く支配し、ラヴクラフト原作の映画っていつもこういう脱力要素があるなと苦笑。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    制作陣が「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」に続き、自分たちのやりたいテイストと合致する作風の監督を見出してくる能力が高い。過度な色合いと音響で精神をさいなむ方向性は面白いけれども、パンチの効いたアイディアも実際に撮影してみると、意外に間延びしてしまい鈍重になる。ラヴクラフトは映画の作り手から支持は高いが、現代に見合っているのだろうか。前衛的な攻めた作りのわりに、テーマと結論がアップデートされていなくて、より古めかしさを感じた。

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