まともじゃないのは君も一緒の映画専門家レビュー一覧

まともじゃないのは君も一緒

「カツベン!」の成田凌と「宇宙でいちばんあかるい屋根」の清原果耶のW主演の恋愛ドラマ。独身・彼女なしの予備校講師・大野は普通に結婚したいと思うが、普通が何かわからない。恋愛雑学が豊富な教え子・香住に、どうしたら普通になれるのか尋ねるが……。監督は、「婚前特急」の前田弘二。脚本は、「そこのみにて光輝く」の高田亮。
  • 映画評論家

    北川れい子

    わっ、愉快!! 近年の青春映画や青春コメディの定番キャラといえば、コミュケが苦手な男女ばかりで、いささかうんざりしていただけに、本作の口達者なヒロインと理屈屋の塾の講師、どっちもどっちでいい勝負。しかもすれ違う会話にさりげなく本音と毒が隠されていて。ことば(喋り)でその人物を見せるというのは古典的手法だが、脚本の高田亮はその辺りをしっかり押さえ、前田監督の演出もテンポよく軽妙。そして何より成田凌と清原果耶の弾力のある演技。笑ったぜ。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    「婚前特急」でスクリューボール・コメディへの造詣を垣間見せた前田弘二監督+脚本・高田亮のコンビによる快作。このところTVバラエティの延長のような日本のコメディ映画を立て続けに観たせいもあってか、空間の切り取り方やファッションの配色など、品のある画づくりと俳優たちの優雅な動かし方(成田凌のクラシカルなたたずまいが映画のトーンにぴったり)に見惚れた。しかも社会が要請する「まとも」から否応なく外れてしまう主人公二人のドラマはすぐれて現代的である。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    日本では定着しなかったスクリューボール・コメディを狙ったのだとすると、進行の予想外の度合いがもうひとつで、スクリューが曲がり切らない。でも、見終わって楽しかったなあと思わせるものはある。いちばんの功績は、主人公の予備校講師大野を演じる成田凌。頭のいい役で「普通」がわからないというのが新鮮。前田監督と脚本の高田亮、いままで以上に、セリフのテンポで運んでしまえ、だったのか。ヒロイン清原果耶が荒れるバーの場面に勢揃いした男たちの面々、これは文句なし。

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