私たちが生まれた島 OKINAWA2018の映画専門家レビュー一覧

私たちが生まれた島 OKINAWA2018

米軍普天間飛行場の移設問題で揺れる沖縄の若者たちを追ったドキュメンタリー。辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票実現に向けて奔走する青年や、村議会議員に立候補した3児の母、伊江島で育った高校生らに密着。現在を生きる彼らの視点から基地問題に迫る。監督は「OKINAWA1965」の都鳥伸也。
  • フリーライター

    須永貴子

    辺野古新基地建設問題を軸に、大学院生、村議会議員、写真家、高校生ら若い世代を追いかける。辺野古で起きている問題とその本質がわかりやすく理解できるし、基地前で座り込みをする市民を排除する警察の映像は、テレビ局が現政権の顔色を伺う昨今において、貴重な記録となるだろう。作り手の真摯な思いを広く伝えるためには、乱暴な言い方をすると、映画としての面白さが必要。編集の工夫をすれば、4人の物語が有機的に絡み合い、もっと短い尺で大きなうねりを生み出せるはず。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    登場するどの人もとても立派で、見ているこっちが恥ずかしくなってくる。彼らがなぜここまで真摯に生きられるのか!? メインキャストの大学院生・元山さんは、辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票を実現するための署名活動を始める。が、条例が可決しても県民投票は実施しないという市が出てきて、投票は頓挫。それに対して元山さんはハンストを決行! 行動原理は生まれ育った沖縄に対する愛なのだ。素晴らしい! が、これを「映画」として評価しなければいけないのがつらい。

  • 映画評論家

    吉田広明

    冒頭で、生まれた時から基地が日常という若い世代が、既成事実を変えようとする映画だ、と。しかし既成事実を知り、何が問題なのかを認識し、変えるために行動を起こすことは普遍的営為であり若者の専売特許でもあるまい。県民投票を実現させた元山氏の活動開始時の挨拶が、世代間の対話=昔を知ること、島々の対話=他所との交流という映画の方向を示しており、それを構成主軸として編集すれば、コンセプトが明確に見える映画になったはず。題名も弱すぎて何を伝えたいのか不明。

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