東京リベンジャーズの映画専門家レビュー一覧

東京リベンジャーズ

和久井健によるコミック『東京卍リベンジャーズ』を「前田建設ファンタジー営業部」の英勉監督が映画化。かつての彼女・ヒナタが悪党連合“東京卍曾”に殺されたフリーターのタケミチは、何者かに背中を押され線路に転落、10年前にタイムスリップしてしまう。出演は「サヨナラまでの30分」の北村匠海、「あの頃、君を追いかけた」の山田裕貴、「羊とオオカミの恋と殺人」の杉野遥亮、「東京喰種 トーキョーグール」シリーズの鈴木伸之。
  • 映画評論家

    北川れい子

    負け犬人生を送る主人公のタケミチは、10年前のヤンキー時代に何度もタイムリープ、その度にボコボコにされる。でそんな自分にリベンジを。実をいうと本作、当初はストーリーの辻褄合わせを気にしながら観ていたのだが、ふと気がつけば、あれこれの些細なことなどどうでもよくなって、若い俳優たちが競い合うように演じるキャラの面白さと、パワフルな殴り合いにもう夢中、不良性感度の高い映画なのに、充実感がある。英監督の迷いのない演出とどさくさ紛れの小ネタにもニヤリ!

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    相性のわるい英勉監督作品ということで警戒して観始めた(失礼!)。おなじみの類型的キャラと大仰な演技にやっぱりダメか、と思ったが、いつのまにやらキャラが豊かな実在感に満ちた人間に変転を遂げ、誰一人不幸にしてたまるか、という人間への寄り添い方にところどころジーンとさせられてしまった。エンドクレジットを確認すると脚本・髙橋泉。なるほどと膝を打った。演出はテンポばかりでなく情緒がほしいが、愛すべきバカモノたちの幸福を祈って★一つオマケ。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    アイドル的男優の緊急課題が野球の大谷翔平の魅力に迫ることだとしたら、本作の泣き虫ヒーロー役北村匠海の表情と体の動きは高得点。タイムリープで過去を変更することが、既存のヤンキー物でふんぞり返ってきたものを地に引きおろすジャンル批判となり、ヤクザ映画以前からのヒロイズムを揺さぶる側面も。原作に明快さがある上に、関わる作品に必ず新手ありの脚本の髙橋泉との仕事で、英監督の手腕がいよいよ冴えた。ヤンキー、これと「地獄の花園」で打ち止めにしてもいいのでは。

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