さんかく窓の外側は夜の映画専門家レビュー一覧

さんかく窓の外側は夜

ヤマシタトモコの心霊ミステリー漫画を「おじいちゃん、死んじゃったって。」の森ガキ侑大監督が実写化。幽霊が見える三角は除霊師・冷川と共に除霊をすることに。二人は一年前に起きた連続殺人事件の調査にあたるが、発見した遺体には呪いがかけられていた。除霊師の冷川理人を「伊藤くん A to E」の岡田将生が、霊が見える特異体質を持つ三角康介を「走れ!T校バスケット部」の志尊淳が、呪いを操る女子高生ヒウラエリカを「響-HIBIKI-」の平手友梨奈が演じる。
  • 映画評論家

    北川れい子

    霊視者とか除霊師とか、ご大層な人物と設定による怪談仕立ての犯罪ミステリーで、あまり怖くはないが、あと味はかなりエグい。場所も人物も限定されて進行、そういう意味では広がりはないが、細かな仕掛けに凝っていて、娯楽映画としてそれなりに達者。題名の“さんかく窓”にもトリックが、と思ったら、なんのことはない霊視者の名前が三角=みすみで、三角が犯罪の窓口にってワケ。除霊師とコンビを組むことになっての作業手順にクセがあるのが面白い。シリーズ化してもいいかもね。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    ヤマシタトモコの原作マンガは、よくあるゴーストハンターものと思わせておいて、感覚を研ぎ澄まさなければわからないような人間関係のアヤを丁寧に描いてみせた点に魅力がある。ところが、この映画はみごとに表層的な部分に絡めとられており、おまけに微妙なバランスで成り立っている原作の人物配置をきわめて平坦で図式的な描写に移し替えている。興味深いはずの主人公たちの背景もきちんと深められることはなく、最後まで「中心」をもたない凡庸なミステリドラマで終わってしまった。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    子供時代の体験が人を縛る。映画、初期からずっと負債的に、それに抵抗できない人物が逃げ込む場所になっているかもしれない。本作に登場するのは、幼いときから特殊な「除霊」の力をもつ二人の心霊探偵。事件性の差はあるが、過去を背負っている。まず、自分をなんとかしろと言いたくなった。ともかく二人は解き明かすべきものに立ち向かう。どこまで話を持っていけばいいか。森ガキ監督と脚本の相沢友子、もたつきながらも、わかっている作り方で、見終わってなんとなくホッとした。

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