眉村ちあきのすべて(仮)の映画専門家レビュー一覧

眉村ちあきのすべて(仮)

弾き語りトラックメイカーアイドル、眉村ちあきに密着したドキュメンタリー。2018年4月から眉村の日常に密着。眉村が提案した様々なアイデアを取り込み、徳永えり、品田誠、小川紗良といった俳優陣も出演し、カテゴライズ不能な作品が出来上がった。監督は「BORDER LINE」の脚本を手掛けた松浦本。
  • 映画評論家

    川口敦子

    「『天才』と称されるアイドル」(チラシより)を知らなくても、「密着ドキュメント映画、のはずだった――」(同)ものを愉しむことは可能だろう。それができないのは新しい才能や表現に自らを開けない頑なさのせいかと不安に駆られもしたが、いや違う、企画も筋も撮り方も要は退屈なのだと気づく。密着映画のようなものの正体にも、そこにいるアイドル(たち)にも新味を感じ得ないのは、それなりに撮れてしまうことへの甘えが全篇を覆っているからだ。映画をなめないで欲しいと思った。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    眉村ちあきさん、お名前は存じ上げていたが、たしかに才気あふれるひとだ。その魅力をさまざまな「大人の男性」が語る導入にやや息苦しさを感じ始めたところで映画は突如、クローンを題材としたSFへと飛躍する。アイドルの偶像性と身体性をめぐるドラマが展開されるかと思いきや、ここからは徳永えりや小川紗良が存在感を発揮するのと対照的に、眉村の身体性が物語の後景にどんどん追いやられてしまう。結果、彼女を取り巻く「大人」の視線にもある種のきな臭さが漂うことに。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    アイドル、音楽、表現。「なんでもあり」でやってしまえと思っても、いろんなブレーキがかかる現実がある。「なんでもあり」がそれこそ自粛的に狭い範囲からの取り込みになりかねない。眉村ちあきの「なんでもあり」は大健闘だと思う。その地力、発想力、機転を活かしたい本作。ドキュメンタリーの地平からの、アッと驚く飛躍がある。存在と表現の両面での「個性」を立体化するような、その思い切りのよさに拍手したい。松浦監督、画が「処理」になりすぎているのが惜しい。

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