ブリング・ミー・ホーム 尋ね人の映画専門家レビュー一覧

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

「親切なクムジャさん」のイ・ヨンエ14年ぶりの映画復帰作。6年前に失踪した息子を捜し続ける看護師ジョンヨンは、目撃情報を頼りにある漁村にたどり着く。しかし、釣り場を営む怪しげな一家に阻まれる。監督は、本編で長編劇映画デビューのキム・スンウ。出演は、ドラマ『梨泰院クラス』のユ・ジェミョン、ドラマ『グッドワイフ』のイ・ウォングン、ドラマ『夫婦の世界』のパク・ヘジュン。トロント国際映画祭ディスカバリー部門、シカゴ国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭、香港亜州電影節正式出品作品。
  • 映画評論家

    小野寺系

    子どもにも容赦のない陰惨な表現や、子を想う母親の愛情を強調するのは一部の韓国映画の傾向だが、本作もあざとく感じられるほど特徴に沿ったものになっている。くわえて田舎の人々の閉鎖性や暴力など、悪意すら感じる激しい表現で観客に義憤をもたらそうとする箇所は、極端すぎて安易に思える。とはいえ、そのような醜い人間たちの姿と、優れた撮影による雄大な自然の姿を映像として対比することで、一種のダイナミズムを生み出し、普遍的な感覚にまで到達したところは見事。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    夫婦が失踪した息子を探すスリラー、と思って見ていたが、ほどなく様子が変わる。親心につけ込む悪意の悪戯情報に振り回された夫は交通事故死。その保険金が目当ての親戚。悪徳警官。怪しげな家族と野卑な村人たち。児童に対する肉体的・性的な虐待等々。登場人物は人非人揃い。ここまで子どもを無慈悲にいたぶる必然性は説明されないまま。なので最後、せっかくのどんでん返し(ネタバレなので伏せる)も、すっきりしない。カタルシスもなく、評価の気力が消沈。すみません……。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    失踪した我が子を探す母の執念を描いた喪失と再生の物語のつもりで観ていたのだが、映画は進むにつれ次第にリアリティを失ってゆき、釣り場の連中に人間の体温が与えられていないと気付くに至り、こいつはまさかの田舎ホラーか? と鑑賞の軸足を改めたものの、そのジャンルとしてもどうにも中途半端で、終盤は「人魚伝説」的なリベンジスプラッタに展開していくと思いきや、そっちにも転ばずで、結局何がやりたかったのかよく分からないまま胸糞悪い児童虐待描写だけが心に残った。

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