ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりからの映画専門家レビュー一覧

ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから

「あしたは最高のはじまり」のユーゴ・ジェランが「エール!」製作陣と再タッグを組んだラブストーリー。結婚10年目の人気SF作家ラファエルとオリヴィア。ある日、ラファエルは中学教師で、オリヴィアが人気ピアニストとなったもう一つの世界に迷い込む。出演は、「私の知らないわたしの素顔」のフランソワ・シヴィル、「呼吸 友情と破壊」のジョセフィーヌ・ジャピ、「不実な女と官能詩人」のバンジャマン・ラヴェルヌ。
  • 映画評論家

    小野寺系

    往年の大林宣彦監督作品を連想させられる、ファンタジックなフランス映画。こんな異常事態が起こっているのに恋愛について考えている場合かと思わなくもないが、時間をかけて練り込まれた脚本が物語全体に説得力を与えている。なかでも終盤の展開が良い意味で奇妙だったり、カメラワークにも“マジカル”な瞬間が訪れるのがいい。「パリ」というワードを無理矢理にでもアピールしたがる傾向にある日本の宣伝事情において、邦題にそれを含めなかった配給側の配慮は個人的に評価したい。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    一目惚れした男がその相手と連弾をするシューベルトの〈セレナード〉。二人のたどたどしさが微笑ましい。彼らの結婚10年目の危機をロマコメにしたこのドラマ、俳優の個性が決め手なのが一目瞭然。主人公夫婦を演じる美男美女の俳優、分けてもF・シヴィルはどんなシチュエイションでも様になる。友達役のB・ラヴェルネの毒気は物語を活性化。監督H・ジェランの経験から生まれたそうで、ファンタジーの中にナマな人情味がちらり。愛の情熱と憂鬱とが混ざり合い、見ごこち良好。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    夫婦の出会いから倦怠期までをアバンのひと息で描写してしまう手さばきに巻いた舌の根も乾かぬうちに、ちょっぴり雑な説明で平行世界SFに舵を切る剛腕演出が冴えわたるロマンチック・ラブコメディで、野暮天の自分にはオシャレさと甘さが勝ちすぎて少しばかり胃もたれしてしまったのだが、終盤の一連のシーケンスで描かれていることはシンプルながら愛の本質に肉薄していると感じたし、好きな人とデエトでいくもよし、ひとり気楽に観るもよし、な守備範囲の広い優秀な娯楽映画だ。

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