エジソンズ・ゲームの映画専門家レビュー一覧

エジソンズ・ゲーム

19世紀、誕生間もない電気の覇権を巡って繰り広げられた“電流戦争”を豪華キャストで映画化。安全な直流方式での送電を主張する発明王エジソンと、効率的な交流方式を主張する実業家ウェスティングハウス。訴訟や駆け引き、裏工作の末に勝利するのは……?出演は「1917 命をかけた伝令」のベネディクト・カンバーバッチ、「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」のマイケル・シャノン、「トールキン 旅のはじまり」のニコラス・ホルト、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」のトム・ホランド。監督は「ぼくとアールと彼女のさよなら」のアルフォンソ・ゴメス=レホン。
  • ライター

    石村加奈

    恐らく監督が撮りたかったのはメンローパークの魔法使い・エジソンVS.電気の魔術師・テスラ、マッドサイエンティストの術比べではなく、ウェスティングハウスを含む、当時の英雄たちの心の交流だったのだろう(という意味では邦題の勝利だ)。「電気椅子」まで含む熾烈な電流戦争から一転、シカゴ万博・中国館での天下太平なやりとりから「キネトスコープ」で発明家エジソンの健在ぶりを見せつけるに至るまでのロマンチックなエンディングをB・カンバーバッチがチャーミングに請負う。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    時代背景である19世紀末の日常の質感を再現するため、全篇やや暗めの照明、陰影の表現を凝りに凝って「光=電気の利権をめぐる戦い」を“彩って”いる。当時の「画」を見事に作り上げているが、超ロングから超ロー、特殊なレンズを複数使用し、手持ちから早いティルトなど多様な手法でショットを目まぐるしく繋ぐバランス。それが心地良い。光を通した写真が動く「映画」の可能性、それを追求する喜びに満ち溢れていると思っていたら、映画誕生の物語でもあった。

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