ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語の映画専門家レビュー一覧

ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語

「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督が、再びシアーシャ・ローナンとタッグを組み、ルイーザ・メイ・オルコットによるベストセラー小説『若草物語』を映画化。マーチ家の四姉妹の次女ジョーにフォーカスを当て、恋に悩みながら小説家を目指す姿を追う。共演は「美女と野獣」のエマ・ワトソン、「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピュー、「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーン、「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のメリル・ストリープ。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    マンブルコアの実践者としてキャリアをスタートさせ、A24での自伝的作品(「レディ・バード」)で大成功。そのままインディー系人気監督の座に収まるかと思いきや、ハリウッド・メジャー初進出の本作では、これまで散々コスり倒された古典に現代的な視点を盛り込み、最終的にはパーソナルな表現として成立させるグレタ・ガーウィグ。その的確な狙いと野望の大きさに圧倒された。名手ヨリック・ル・ソーの撮影も功を奏し、文芸作品にありがちな堅苦しさからも解放されている。

  • ライター

    石村加奈

    塩漬けライム代に困るエイミーや髪を売った夜のジョーにそっと寄り添い、見事な姉っぷりを発揮するメグの姿に、子供の頃、熱心に読んだ原作の魅力を思い出した。親以外の、自分以上に自分をよく知る他者の存在に憧れていた(本作ではメグのガーリーな部分まで網羅)。クリスマスの朝のシーンも想像以上に素晴らしかったが、心弱るジョーに「それは愛じゃない」と断言する“これぞ四人姉妹の母”の強さ(L・ダーン!)に痺れた。原作者と原作をつなぐ構成、すみれ色の衣裳も美しい。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    自伝的作品「レディ・バード」の後に、自身が影響を受けたオルコットの自伝的小説『若草物語』を映画化したガーウィグ。主役であるオルコット自身を反映させたジョー役には、またも“分身”シアーシャ・ローナンを起用、常にクリエイトする己を捉え、「女性の生き様」を追い続ける。原作の1部と2部を大胆に現在と過去(もしくは現在と未来)として再構築し行き来して描く手法は、それぞれのエピソードが反映し合い、この普遍的な物語の時代設定を変えず、新たな感触で楽しめる。

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