ジョン・F・ドノヴァンの死と生の映画専門家レビュー一覧

ジョン・F・ドノヴァンの死と生

グザヴィエ・ドラン初の英語作品となるドラマ。2006年。人気俳優ジョン・F・ドノヴァンが29歳で謎の死を遂げる。10年後、その真相を知る新進俳優ルパートが、少年時代にドノヴァンと文通していた手紙を公開し、全てを明かすと宣言するが……。出演は『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズのキット・ハリントン、「ポップスター」のナタリー・ポートマン、「ワンダー 君は太陽」のジェイコブ・トレンブイ。8歳の頃、レオナルド・ディカプリオにファンレターを書いたというドラン自身の思い出が物語のヒントになっている。
  • 映画評論家

    小野寺系

    「マイ・マザー」(09)や「Mommy/マミー」(14)同様、母と息子それぞれの事情を、しかもダブル(二組の家庭)で描いていく内容に、もはやアラサーとなったグザヴィエ・ドラン監督の心の闇をあらためて強く感じさせる。スター俳優と少年との交流には、強い必然性もリアリティも感じず、感動的であるはずの結末も、どこか上滑りしているような印象を受ける。作中にも表れる“天才”、“特別”という自意識からはそろそろ離れるべきでは。少なくとも本作に以前ほどの鮮烈さはない。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    今回も母と子をテーマにしてはいるが、作品の設えはこれまでとはかなり異なる。3人のオスカー女優に加え、個性派の名優を主人公の母親と周辺に配役し、その彼らが各人いい味を出している分だけ、肝心の主人公の存在が薄くなり、結果、文通というストーリーの軸が?せ細り、逆効果に。人気俳優と、11歳のいじめられっ子の少年。そりゃあ、辛いですよ。2人の孤独は理解できるが、少年が手紙に何を書いたかが語られていないので、隔靴掻痒の感が募る。当を得た配役は見る価値あり。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    グザヴィエ・ドランという監督は感性の作家であると同時に映画作りが滅法上手い職人的な腕も兼ね備えた稀有な才能の持ち主であるにもかかわらず、今までの作品は感性に比重が傾いてしまっているがゆえにある程度客を選ぶ、いうなればシネフィル向けの映画になってしまっていることに若干の勿体なさを感じていたのだが、本作のスタンド・バイ・ミーが高らかに鳴る邪気のない豪速球ど真中のシーンは、そんな思いを木端微塵に打ち砕いた瞬間で、こんなものを観せられたら泣くしかない。

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