461個のおべんとうの映画専門家レビュー一覧

461個のおべんとう

TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美によるエッセイ『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』を原作に「キセキ あの日のソビト」の兼重淳監督が映画化。長年連れ添った妻と離別したミュージシャンの鈴本一樹は、高校生の息子のために毎日弁当を作ることになるが……。出演は、V6の井ノ原快彦、関西ジャニーズJr.内ユニット『なにわ男子』に所属する道枝駿佑、「ラストレター」の森七菜、「覚悟はいいかそこの女子。」の若林時英。
  • フリーライター

    須永貴子

    お弁当も、父親と息子の3年間のストーリーも、丁寧仕立て。特筆すべきは、井ノ原快彦が演じる父親=原作者の渡辺俊美が所属するバンドのキャスティングと演奏シーン。トリオ編成や担当楽器、なんとなくのキャラクター設定はそのままに、バンド名と人名を変更し、この映画のために渡辺が書き下ろした3曲を、井ノ原、KREVA、やついいちろうがフルで披露した。この手法は画期的な発明であり、音楽映画として高く評価したい。エンドロールの映像はアイドル映画として大正解。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    パパが息子に弁当のことを「お弁当」と言う。それがこの映画を象徴している。パパが作るお弁当はプロ顔負けの、まるでデパ地下の売り物。品行方正な人たちが当然のように品行方正なことをする。こんな人たちを見たことはないから、神様かフィギュアかどちらかなのかも。その人たちがまるで実感のこもっていない、「あれ?」と首を傾げるような的外れなことを言う。どこかで借りてきたレッテルを貼っているよう。フェイスブックやインスタグラムでの自慢を延々見せられた気持ちがした。

  • 映画評論家

    吉田広明

    息子が父に向って質問し、父が返す答えに息子が不審げな顔つきをすると「もっとちゃんと説明した方がいい?」と問い返し、息子が「分かった」と答える場面が二度ほどあるが、映画全体がこんな調子、何となくで進んでゆく。父が弁当を作り続ける意味、それを通して父と子の関係がどう変わったのか、父がフクシマ出身は物語にどう関わるのか、また母親との関係が父と息子の関係にどう影響するのか、全部結局曖昧で、何となく分かるでしょ、と観客に丸投げしている印象だ。隔靴掻痒な映画。

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