ハスラーズの映画専門家レビュー一覧

ハスラーズ

ニューヨーク・マガジンに掲載された記事を原案に、ウォール街を震撼させた驚愕の実話を映画化。ストリップクラブで働くデスティニーとラモーナは、リーマン・ショックの影響で客の入りが激減するなか、薬物を入れた酒を客に飲ませて大金を奪う計画を企てる。出演は、「クレイジー・リッチ!」のコンスタンス・ウー、「PARKER パーカー」のジェニファー・ロペス、「ボーン」シリーズのジュリア・スタイルズ。監督は「エンド・オブ・ザ・ワールド」のローリーン・スカファリア。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    2000年直前に歌舞伎町でトップレス女性とドラァグクイーンの大バコの雇われママをしていた。「傷ついた人間は、人を傷つける」。まさにこのセリフを実感していた。そして人は誰もが歪な多面体で、良い面もあれば邪悪な面も併せ持つ。邪悪な面で接すれば、相手の邪悪な面が現れ、良心を持って接すれば、相手の良心が自ずと立ち現れる。良い人間も悪い人間もいないのだ。そしてどの時代も都会では肌の色の様々な女性が逞しく生き抜き、腕力で毛皮の皮膚を勝ち取っていくのだ。

  • フリーライター

    藤木TDC

    序盤、ストリップクラブシーンでの五十路ジェニファー・ロペスの巨尻ポールダンスには不覚にも硬直してしまい、しんぼたまらず★5。中盤以降の実録部分、独立愚連隊と化したダンサーたちが客に直営業して眠剤仕込みボッたくる件は被害者があまりに楽しそうだし、女たちも切羽詰まって見えず犯罪の再現として弱い。金額は小さいが私にも似た経験があり憤慨より「あったな~こういう時代」と懐かしみニヤニヤ。映画とはいえ犯罪でそんな悦な気分にさせるのは失敗だろうと減★2。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    弱者側からの痛快な犯罪劇で、些細な綻びから始まる切ないシスターフッドの崩壊の物語として面白く観られるが、どこかずっと様々な非対称性が頭に引っかかる。デートドラッグで騙される男性は自業自得という設定は、現実の性差別もあるし、演出の流れでそう見えるようになってはいるものの、果たして受容していいものなのか。シングルマザーの必死さと、買い物に明け暮れる享楽性などの相反や倫理の抵触が気になる。C・ウーとJ・ロペスのバランスの良さには魅了された。

1 - 3件表示/全3件