ドミノ 復讐の咆哮の映画専門家レビュー一覧

ドミノ 復讐の咆哮

「ミッション:インポッシブル」のブライアン・デ・パルマによるサスペンス・アクション。デンマーク市警の刑事クリスチャンはパトロール中に殺人事件に遭遇。犯人タルジを取り押さえるが、自身のミスで同僚が負傷し、謎の男たちに犯人を連れ去られてしまう。出演は、「オブリビオン」のニコライ・コスター=ワルドー、「ワルキューレ」のカリス・ファン・ハウテン、「アイアンマン3」のガイ・ピアース、「ある戦争」のソーレン・マリン。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    たったひとつのミスが引き金となり、個人的な次元から国家の次元まで様々な影響を及ぼし、秘密が視覚化されていく。絡み合う連鎖や人間模様は、最終的に一箇所に収束し大団円を迎える構造。以前デ・パルマの作品でサカモト教授がボレロのような楽曲を提供していたが、そんなことはもはやどうでも良い。リッチな映像のデ・パルマ先生のサイコな作品がいまも作り続けられているということに感動。人類が繰り返す愛と憎悪の犯罪は、映画という形式で何度も変奏される作品群と重なる。

  • フリーライター

    藤木TDC

    ブライアン・デ・パルマもそろそろ80歳、緻密な芸術品を組み立てるには衰えが隠せず、本作もすべての人に薦められる完成度ではないが、それでも何度か「あぁ、デ・パルマだなあ」と酔える美しいシーンがあり、彼はあえて穴だらけのスリラーを撮りたかったのではと裏読みしつつ細部を愉しめ、ましてシネコンではなく古めかしい映画館で見られれば、彼の煌めいていた時代を知るファンは幸福な時間を過ごせると思うし、デ・パルマにもまだ時間はあると次作への期待がふくらむ上々な出来。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    デンマーク警察とCIA、ISISが絡み合う?末を追っているものの、一刑事が個人的感情で国際犯罪に関係していく不自然さは当然ある。しかし監督がブライアン・デ・パルマなら仕方ないと思わせる、作家主義の象徴的作品だ。奇妙な人間関係、機械仕掛けのように作動していくクライマックスの展開、スローモーション等のカメラワークといったデ・パルマ節が炸裂していて、監督の新作を観たかった人には十分の出来。ただデ・パルマというブランドが利かない観客には平凡かも。

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