彼女は夢で踊るの映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
広島のご当地映画だが、内輪ノリの欠片もなく、恋と青春の記憶をみずみずしく描く。二度も閉館詐欺をしたストリップ劇場の支配人の、仕事にも過去の恋愛にも往生際の悪いキャラクターに、レディオヘッドの〈CREEP〉がマッチ。“彼女”と出会ったバーで流れ、主人公が独りで踊るエンディングで流れるこの曲が生み出すカタルシスに酔った。踊り子たちのパフォーマンスは、「なぜ彼女たちの踊りに観客は魅了されるのか」という劇中の問答に対する満点の解答。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
広島にあるストリップ劇場「広島?一劇場」が、閉館していく話だが、実際の劇場は二度も閉館宣言しながら再開し、「閉館詐欺」などと言われつつ今も執念で営業している。全国の劇場を回っているストリッパーたちが、ラストステージで踊るために「?一」に帰ってくる。我が家でもないのに、「帰る」と表現したくなる何かがある。壁に残された踊り子たちのキスマークが泣かせる。ノスタルジーを奏でる映画は時々嫌な押しつけがましさを感じさせるのだが、それもなく、とても後味がいい。
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映画評論家
吉田広明
女性たちが美しく撮られているのはいいのだが、ヒロインが美しい幻影に過ぎず生身でないことに顕著であるように、その美しさも結局男のロマン的な勝手な思い込み故ではないか、と思える。例えば閉館を機に見に来た女性たち、彼女たちから見ても魅力的に見えるとしたらそれは何故か、また踊り子たちにとってもストリップが何だったのか、という女性側の視点も必要だったのでは。ストリップも確かに芝居、それはそれで、男女それぞれの思い思惑がどう交錯するかで劇を構成すべき。
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