ジョジョ・ラビットの映画専門家レビュー一覧

ジョジョ・ラビット

「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティが監督・脚本・出演を兼任したコメディ。第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョは、立派な兵士になるため、空想上の友だち“アドルフ”の助けを借りて、日々奮闘するが……。出演は新人のローマン・グリフィン・デイビス、「ピッチ・パーフェクト ラストステージ」のレベル・ウィルソン、「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェル、「アベンジャーズ/エンドゲーム」のスカーレット・ヨハンソン。
  • ライター

    石村加奈

    冒頭、ヒトラーユーゲントの合宿へと街を駆け抜けるジョジョ少年が、後半、戦地と化した街中で立ち尽くすシーンの対比。「芳華-Youth-」(17)同様、美しい日々と戦場のコントラストが見事である。蝶を追った先に母の死を見つけるなど、少年の眼差しに徹した軽妙な語り口が、純粋な怒りとシリアスな余韻を与えている。ビートルズから始まりD・ボウイで終わる選曲、M・ジアッチーノの音楽も素晴らしく“映画”で伝えることに特化した印象だ。S・ロックウェルも相変わらずナイス。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    本作は、ナチス信奉の少年ジョジョと彼の家に潜んでいたユダヤ人少女の“攻防”を、ギリギリのユーモアで描いた稀な「戦争映画」だ。監督のタイカ・ワイティティはマオリ系ユダヤ人で、その彼自身が幼少から受けた偏見の経験と憎しみからくる葛藤を主人公2人の関係性で体現、さらに自らジョジョの妄想の中のヒットラーとして出演している。その矛盾した存在は、ジョジョにアドバイスを送り続けるのだが、それが滑稽で可笑しいほど、現実の中の不条理が浮き彫りになっていく。

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