盗まれたカラヴァッジョの映画専門家レビュー一覧

盗まれたカラヴァッジョ

1969年に起きたカラヴァッジョの名画『キリスト降誕』盗難事件の謎に迫ったサスペンス。事件の映画化を進めていた人気脚本家が、何者かに誘拐され、昏睡状態で発見される。彼のゴーストライターのヴァレリアは、正体を隠して脚本を書き進めるが……。出演は「歓びのトスカーナ」のミカエラ・ラマッツォッティ、「ナポリの隣人」のレナート・カルペンティエリ。監督は「修道士は沈黙する」のロベルト・アンドー。
  • 映画評論家

    小野寺系

    ブライアン・デ・パルマのサスペンススリラーを想起させる、虚構が折り重なったフェティッシュかつ幻惑的な一作。脚本は盛り沢山だが、部分的にリアルだったり荒唐無稽になったりと、落ち着かない。ワイルドな魅力を放つミカエラ・ラマッツォッティが、愛する男に献身的に尽くすところから、次第に野獣のようになっていく過程は楽しいが、その一方で、作り手の女性像が旧態依然としていると感じさせる描写も少なくない。そこをアップデートしてこそなのではないのか。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    バロック期のイタリア人画家カラヴァッジョ作〈キリスト降誕〉の盗難事件の謎が基になっているそうで、絵の行方を追うサスペンスかと思いきや……、この事件を映画化するという設定になっていて、話はてんこ盛り。劇中映画の脚本家と女性ゴーストライターとの関係やマフィアの陰謀等々、虚実取り混ぜた人間関係が複雑に入り組み、混沌を深める。危うく混沌に巻き込まれるところだったが、絵の行方を追う話ではないと判明して納得。監督R・アンドーはL・v・トリアー嫌いだったのね。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    絵画ミステリとして導入はそれなりに期待したけど、展開するにつれ話のスレッドが何本も立つばかりでちっとも焦点が定まっていかず、途中から楽しみ方が分からなくなってくる上、絵画の話も段々どうでもよくなってくるし、ミスターXとかどうかしてるネーミングセンスの奴から細切れに送られてくる映画の脚本が最後までいく前に「傑作だから撮れるとこから撮っちまおう!」て、エロVシネでもそうはならんだろ、なんてツッコミどころもメガ盛りで、まあ、なかなかに面白くなかった。

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