るろうに剣心 最終章 The Finalの映画専門家レビュー一覧

るろうに剣心 最終章 The Final

漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を監督・大友啓史、主演・佐藤健で実写化した時代劇シリーズ第4弾。かつて人斬り抜刀斎と恐れられ、今は斬れない刀・逆刃刀を携える緋村剣心。突如何者かが東京中心部を相次いで攻撃し、剣心とその仲間に危険が及ぶ。原作最後のエピソード『人誅篇』をベースに、剣心の十字傷の謎を知る上海マフィアの頭目・雪代縁との戦いが描かれる。神谷薫役の武井咲、斎藤一役の江口洋介らが続投するほか、雪代縁を「サヨナラまでの30分」の新田真剣佑が、剣心の妻だった雪代巴を「フォルトゥナの瞳」の有村架純が演じる。
  • 映画評論家

    北川れい子

    アクション演出に“ツンのめり”状態の大友監督。いや、アクションはこのシリーズの最大のウリである。エキストラをふんだんに使った、なだれ込むような勢いのあるアクション。枝と間でぶつかり合う1対1の勝負もしっかり緊張感を誘う。けれども肝心のストーリーが各アクションに押し流されているようで、観ているこちらはチリヂリ、バラバラに浮いている多様な人物やエピソードをせっせとかき集め……。思えばシリーズ第1作目は、アクションとドラマがシンプルに一体化していたっけ。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    シリーズ完走したが、結局最後までノレず。伊藤大輔のサイレント時代劇に想を得た谷垣健治監修のアクションは、群舞としてはそれなりに見せるが、そもそも力の強い奴が刀をひと振りすると30人くらいが一斉に倒れるような世界観においては細部のロジックなど望むべくもなく、ただの肉弾戦の繰り返しに早々飽きてしまう。また、大友啓史監督のリアリティ志向は「影裏」のような作品では効果を発揮するが、ここでは背景と作風の乖離を生んでいる。「暗い過去」の描写も類型的。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    西南の役「戦後」の東京の各所を上海マフィアが襲撃する。首謀者、実は日本人の武器商人で、個人的な復讐が動機。この荒唐無稽が現在のどこに通じるか。少しは考えてくれと言いたくなった。線の細い佐藤健演じる剣心のヒーロー性はここでも鮮度ありだが、明かされる過去は理不尽に悲しいだけ。大友監督のセンス、橋本創の美術のエグ味に、アクション監督は香港仕込みの谷垣健治。総じて、過剰さが、武井咲演じる師範代と門下の励む、人の心を活かすという剣法そのものを活かさない。

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