グリンゴ 最強の悪運男の映画専門家レビュー一覧

グリンゴ 最強の悪運男

シャーリーズ・セロンが製作・出演を兼任したコメディ。真面目に働いてきたものの、上司に裏切られ、人生のどん底に突き落とされたグリンゴは、復讐を計画。偽装誘拐を演じて、身代金の強奪を企む。だが、真相を知らない上司は、その誘拐を利用しようとする。主演は「グローリー/明日への行進」のデヴィッド・オイェロウォ。
  • 映画評論家

    小野寺系

    邦画では、パリなどを舞台にしているのに日本人キャストばかりで占められ、現地の登場人物がそれほど活躍しないという一種の“観光映画”と呼べる作品ジャンルというのがあるけれど、本作のようにアメリカ映画にも同様の傾向の作品がある。主演のデイヴィッド・オイェロウォはじめ出演者が豪華なため退屈せずに見ていられるが、不運に見舞われるだけの主人公に肩入れする理由が見つけづらいのが大きな難点。メキシコでアメリカ人たちが狂騒する様子をただ無心で眺めていた。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    友人、会社、妻のすべてに裏切られた男が腹いせに一世一代の偽装誘拐を企てるこの映画、クライム・コメディと言ったらいいのだろうか、面白くしようという意気込みが存分に伝わってくるわりにストーリーはやや平板に終始。それもそのはず、登場人物は強欲な人間ばかりなので結局メリハリが乏しく、物語の軸であったはずの主人公のリベンジ計画が脆弱になり、惜しい。S・セロンの、目立って毒々しく赤いボリュームのある唇が、漱石が『草枕』で深山椿を形容した妖女と重なった。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    幾層にも積み重ねられたエピソードがラストに向かって収束してゆき、最後に全てがぶつかり合う興奮を味わうタイプの娯楽映画で、狙いは分かるし、かなり強引なドンデン返しの連続もこの世界観の中ではプラスに作用しているようにも思えるが、中盤までの展開が結構グチャついていて、登場人物の数ももう少し整理してもらえないと自分のような頭の回転のトロい観客が物語に入っていくことは難しく、恥ずかしながら置いてきぼりを食らって理解出来ない部分があったことを告白したい。

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