ジュディ 虹の彼方にの映画専門家レビュー一覧

ジュディ 虹の彼方に

1939年「オズの魔法使」で一躍スターとなったミュージカル女優ジュディ・ガーランドの晩年を「シカゴ」のレネー・ゼルウィガーが演じた伝記ドラマ。1968年、トラブルが度重なり窮地に立つジュディは、子供を元夫に預け、ロンドンのクラブに出演するため旅立つ。ピーター・キルターによる舞台『End Of The Rainbow』を基に、47歳の若さでこの世を去る半年前に行われた公演の日々を、「トゥルー・ストーリー」のルパート・グールド監督が描く。劇中歌は全曲レネー・ゼルウィガー自身が歌っている。第77回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞【ドラマ部門】ノミネート。
  • ライター

    石村加奈

    『オズの魔法使い』の訳者あとがきで柴田元幸氏は、ドロシーの魅力を、原作者にも通じる「アメリカ的価値」を体現した「明るい天真爛漫さ」と指摘したが、ガーランドも真摯なエンタテイナーだったのだろう(観客との間に愛が生まれたラストステージの感動!)。最後に引用される言葉は、映画版(39)でオズがブリキの木こりに言った台詞だが、心ない大人たちの呪いの言葉で、自分を信じる心を弱めた彼女の物語の結びには切なすぎる。優雅でもろいヒロインを、ゼルウィガーが繊細に表現。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    冒頭から素晴らしく、ジュディ・ガーランドが生きているショービジネスという金と魔法が入り交じった混沌世界にすんなり入り込んでしまう。彼女の晩年、その数週間を切り取った作品だが、彼女の「47年の人生」が凝縮されている。レネーは、まさにジュディに憑依、ドキュメントと錯覚させるくらい真に迫っていた。中盤のゲイのカップルとの交流は、おそらくジュディがLGBTQの人たちのアイコンだったことからの創作だが、彼女の背景、そしてクライマックスに見事に繋がる。

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