ロマンスドールの映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
夫婦の感情のやりとりや関係性に新鮮味はないが、2人の出会い、夫が吐き続ける嘘、夫婦の別れといったポイントに、ラブドールというギミックを巧みに絡め、映画的なインパクトとまとまりが生まれている。妻(となる女性)に告白するために衝動的に走る姿、妻がモデルの新型ドール作りに没頭する姿、海辺で亡き妻への想いをつぶやく姿など、夫を演じる高橋一生は、誰かへの想いを抱えて独りで居る姿が抜群にエモーショナル。夫婦の性愛シーンがそれに負けてしまうほどに。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
ラブドール制作工場で働く青年は、生身の女性から乳房の型取りをしようと、美術モデルを呼ぶが、「医療用」と偽ってさせる。それが縁で二人は付き合い、結婚するが、数年経っても、まだ青年のほんとの仕事を彼女が知らないというのがまず解せない。となると、話はみんな絵空事に見えてくる。亡き妻に生き写しのラブドールを作り、ネットで売ると大当たり。関係者共々青年は大喜びするが、なぜあんなに無邪気に喜んでいられるんだろう。妻のドールがいろんな男に弄ばれるというのに。
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映画評論家
吉田広明
出会ってすぐに恋に落ち、結婚した夫婦が、危機を克服して心から一つになる。その夫がラブドールの製作者であり、妻がその(騙された)モデルということを除いてはごく凡庸な夫婦のドラマ。物語の凡庸が悪いわけではないが、大事な場面ではクロースアップの律儀な切り返し、最後のドールを作る際に思い出が走馬灯のように、またそのドールを試し抱きする際にドールが妻に見える、など演出が平凡すぎて、物語の凡庸さを際立たせる形になっている。題材の奇抜だけでは糊塗できず。
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