「玩具修理者」のストーリー
アンティーク・トイが並ぶおもちゃ屋に、サングラスをかけた若い女性がやって来た。彼女は、店で働く少年に自らの幼い頃のおもちゃにまつわる不思議な想い出を語って聞かせる。それは、どんなおもちゃでも必ず直してくれた玩具修理者の話。「ようぐそうとほうとふ」 修理の際、そう呟くことから子供たちにようぐそうとほうとふと呼ばれていたその人物は、しかしどこをどう直して欲しいか頼んだ通りにしか修理してくれない上、幾つものおもちゃを一遍に直すので時々違う部品が混じることがある。ある夏の日、まだ赤ん坊の弟のお守りをしていた彼女が誤って弟を死なせてしまった。弟を生き返らせることは出来ないか? 悩んだ末、友人が死んだ猫をようぐそうとほうとふの所へ持って行ったことを想い出した彼女は、弟の亡骸を修理者の元へ持参すると、怪我をした自分の右目と共に修理を依頼する。それから暫くして、彼女が意識を取り戻すと弟も自分の目も直っていた。しかし、彼女は弟を成長するように頼んでいなかった。不審に思う両親の目を盗んで再度修理を頼む彼女。やがて、両親が死亡したのをきっかけに、ふたりは離れ離れに暮らすことになった。それから十数年、弟がちゃんと成長しているか気になった彼女は弟を捜して少年の働くおもちゃ屋に辿り着いた。そう、彼女の弟とは少年だったのだ。そして、人間らしく成長している弟を見て安心する女。だが、彼女の目は猫の目だった!