「暴力をめぐる対話」のストーリー

2018年にフランスで一般市民がマクロン政権に異を唱え立ち上がった市民活動”黄色いベスト運動”は、地方都市から瞬く間に全土に広がり、長きにわたり続く。燃料価格や生活費高騰による社会的不平等に対する怒りと不満が高まるにつれ抗議はときに破壊行為へと激化。2019年3月16日にはパリで200人以上が警察に拘束された。ダヴィッド・デュフレーヌ監督は『Allo, place Beauvau』というデータベースを立ち上げ、警官による暴力行為を市民が Twitter に投稿・報告する動画を集積。『Allo, place Beauvau』をWEB上で管理する中で、多くのデモが抑圧の対象となり、死傷者を生む凄惨な武力鎮圧が増大していくのを目の当たりにした。政権への抗議デモと対峙する警官は、なぜ暴力を振りかざしたのか。傷を負った市民や警察関係組織、弁護士、社会学者、心理セラピストたちに市民がデモの現場を撮影した数多くの記録映像を提示して、対話を促し、疑問を語り合いながら、正義と呼ばれる暴力の原因と結果を考究していく。