「LAMB ラム」のストーリー

アイスランドの人里離れた山間部。この地で静かに暮らすのは、羊飼いの夫婦イングヴァル(ヒルミル・スナイル・グズナソン)とマリア(ノオミ・ラパス)。ある日二人が羊の出産に立ち会うと、羊ではない“何か”が産まれてくる。言葉を失い目配せし合う二人だが、衝撃も束の間、二人は自身の子どものようにその存在を受け入れると、過去に亡くした娘の名前から“アダ”と名付け、育てることに決めたのだ。アダとの家族生活は夫婦に生きがいをもたらすが、我が子を取り返しにやってくるかのように、連日連夜けたたましく鳴き続ける母羊のことが、マリアは邪魔で仕方がない。ある時ふと目を離した隙にアダが姿を消す。不安に苛まれながら必死に探し回ると、そこには薄暗い霧の中で佇む母羊と、アダの姿があった。自宅へアダを連れ戻してからも、諦めずに呼びかけ鳴き続ける姿に業を煮やしたマリアは、母羊へ静かにライフルを向けたのだった。アダを取り戻した夫婦のもとへ、今度はイングヴァルの弟・ペートゥル(ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン)がやってくる。アダを動物だと諭そうとするペートゥルだったが、次第に叔父と姪のようにお互いを慕い合う。穏やかで幸福な生活が続くかに思われたが、周囲で不審な事件が起きるようになり、不穏な空気が立ち込め始める。