「印度の放浪児」のストーリー

1885年、印度の北境は帝政ロシアが勢力を浸透しようと不穏な形勢にあり、英国側は密偵を放ってその動きをさぐっていた。英国軍人の子に生まれながら巷に埋もれる放浪児キム(ディーン・ストックウェル)は、赤髭アリ(エロール・フリン)と呼ばれる馬商人の使い走りなどをしていたが、彼もまた密偵の1人であった。ある日キムは貧しい旅僧(ポール・ルーカス)に逢い、彼が聖なる「矢の河」を求め歩いていると聞いて、一緒に放浪の旅に出ることにした。アリは密偵の元締クレイトン大佐に渡す密書をキムに托した。大任を果たしたあと、キムは父の素性が知れて軍人孤児院に入れられてしまうことになったが、彼に密偵の素質があることを見抜いたアリと大佐は、キムに密偵の特別訓練を受けさせヒマラヤ山中にいる密偵の1人に手紙を届けさせることになった。この密偵は、山中で地質研究を行なっている筈であったが、キムが旅僧と到着してみると、既に何者かに殺されていた。3週間たってもキムは帰ってこないので、大佐はアリを捜索に出した。キムは大胆にも老僧と共に2人の白人の召使となってその挙動を探っていたのであった。想像通りこの2人はロシアの間者だったが、キムの素性を見破って彼を谷へ突き落そうとし、却ってアリに突き落されてしまった。残ったロシア人は老僧を叩き伏せて逃亡、その夜敵方の原住民がキムやアリを目がけて攻め上がってきた。2人は山上から大岩を転がし、これが大山津波となって、敵は全滅した。瀕死の老僧は、断末魔の一瞬、眼前に聖なる「矢の河」の幻を見て息をひきとった。勇んで引き揚げるキムは、途中進軍してくる槍騎兵の一隊を見、自分も成長したら父のあとを継ごうと、固く心に誓うのだった。