「内部被ばくを生き抜く」のストーリー

内部被ばくに関しては様々な異説、異論があり、低線量の放射線は安全であるという考えから、どんなに微量でも身体の中に入った放射性物質は危険であるというものまで、まるでグラデーションのように存在する。同様に、放射能汚染もまた、まだらなグラデーションを地上に描いている。本作は、世界中の放射能汚染を受けた現場で生きる人々への取材を通して、データにはならない被ばくの実態を追う。また、そんな現場で実際に被ばくに関する医療活動を継続してきた4人の医師に、これからどう対処するべきかを問う。4人の医師は年齢も経歴も異なり、内部被ばくに関して積み重ねてきた体験や研究は重複する部分もあれば、まったく重ならない部分もある。内部被ばくの影響は複雑であり、未知の面も多々ある。この4人の医師の言葉を聞くことで、情報が錯綜する中でも、自分の立ち位置を見定めることができるだろう。福島・二本松で生活し続けることを決意した一家にも取材し、現場の声を聞く。被ばくを語るうえで、暮らし、家族、地域など、生身の人間の未来への配慮を無視することはできない。この“内部被ばくの時代”を生き抜くために必要なことはなにか、最前線で格闘する人々の言葉に耳を傾ける。