「小牧師(1934)」のストーリー

牧師ゲヴィン・ディシャートは母親を伴って、スコットランドの僻地スラムス町の教会へ赴任する。彼は若く熱心で誠実で未婚であった。彼の親切な態度にたよって町1番の酔っぱらいロブ・ドウが禁酒したので町民はゲヴィンを深く尊敬する様になる。この町の住民の大部分は織工だったが、織賃値上げ問題で流血の惨事があったので、紛擾首謀者を検挙しに兵隊が出動するという噂が立ち、兵隊が来たら角笛で合図するという事が町民間では密かに決められた。町の地主のリンタウル卿邸に育てられたジプシー娘バーバラはやがて卿と結婚する身だった。しかし町民は彼女の素性は知らなかった。ところがバーバラはこそこそジプシーの紛争をして邸を脱出して町へ遊びに来たので、町ではジプシー娘バビイとして知られていた。バビイはゲヴィンと知り合った。バビイは卿から兵隊の来る事を聞き、ゲヴィンを騙して角笛を吹かせた。その為に町民は大挙して兵隊を迎え討ち、結局騒いだだけで問題は簡単に解決した。ゲヴィンは怒ったがいつしか彼はバビイを愛する様になっていた。ゲヴィンがジプシー娘と恋に落ちたという噂は町民の心を暗くした。彼らが敬愛する牧師が人もあろうに異教徒の遊民にたぶらかされている、というので教会の長老達は場合によっては牧師を教会から追放せねばなるまいと心痛し始めた。ゲヴィンを崇拝するロブ・ドウは再び酒に親しみ出した。バビイはロブの伜マイカーからこの事を聞き、ゲヴィンを愛するが故に彼を断念して、卿と結婚する事に決めた。そして明日結婚するという前日、1人者の老婆ナニイに別れにいってバビイはゲヴィンと再会した。全てを彼女から聞いたゲヴィンは愛無き結婚の不可を説き、卿に了解を求めて2人が結婚しようと相談した。この為にゲヴィンは夕べの祈祷会に遅刻してしまった。教会では信徒達は怒り、ゲヴィンが駆けつけても門を開いてくれない。ロブは無理に開けさせようとしてナイフをきらめかした。牧師はそれを遮ろうとして負傷した。牧師館にかつぎこまれるやゲヴィンは、先着していたバビイを擁して、彼女は立派な婦人であると言い、断然彼女を妻に娶ると宣言して倒れる。長老達も自分らの頑迷を悟り、ゲヴィンが全快したときは許されてバビイは牧師館にてバビイと結婚するのであった。