「兄貴は世界一」のストーリー

キャプ・トーランスはスピード・ボーイ建造には頭脳も手腕の長けていたが、真正直過ぎるので老来なお不遇であった。建造中の新艇も来るべき太平洋選手艇競争に出場するはずであるが操縦者がなかった。助手のスピード・モロウはキャプの娘ジーンと恋仲であるが、彼女をして父を口説かせて、操縦することとなる。競争の当日、予選では最良のタイムを出して入選したが、それを見たランガードは自分のボートが負けることを怖れ、操縦者ステナーをしてスピードを誘って昼食に酒を飲ませた。そして午後の決勝にはステナーはスピードが反則を犯す様に仕向けて1着を取った。スピードはトーランスの元を馘首され、くさって南米へいく気になったが埠頭で孤児のキャットフィッシュを助けてからは、彼を下宿に引き取って南米行きは思い止った。ランガードは酒を密輸するのを本職にしている悪漢で、スピードが失業して困っているのを誘って密輸艇の操縦をさせた。スピードとジーンはキャットフィッシュの骨折で仲直りし、その後スピードは密輸艇操縦を断り、再びキャプの助手となった。世界選手権争奪のスピード・ボート競争の当日、ランガードはキャットフィッシュを誘拐した。スピードは警官隊と共にランガードのヨットを襲って乱闘の末少年を助け出した。一方競争は既に始まり、キャプのボートはジーンが操縦して旗色は悪かった。駆け戻ったスピードはジーンに代わって操縦席に着き、猛烈なスピードを出してステナーを抜き1着の桂冠を得た。彼が密輸艇操縦をしていた罪は情ある警部のはからいで不起訴となり、ジーンと共に幸福な生涯に入った。