「椿三十郎(2007)」のストーリー

ある夜、社殿の中で九人の若侍が、上役の汚職を暴き出そうと密議をこらしていた。若侍の一人、井坂伊織(松山ケンイチ)によれば、汚職の張本人である次席家老黒藤(小林稔侍)と国許用人竹林(風間杜夫)の粛清の意見書を、伯父である城代家老睦田(藤田まこと)に差し出したが、受け入れてもらえなかったとのこと。一方、大目付菊井(西岡徳馬)はこの進言を快諾し、詳しい話を聞きたいから仲間全員を社殿に集めるよう宣われたと言う。意気の上がる若侍たち。しかしその時、彼らの前に社殿の奥からよれよれの紋付袴を着た浪人、椿三十郎(織田裕二)が現れた。彼は城代家老が本物で、大目付菊井が黒幕だと言って若侍たちを仰天させる。その言葉通り、すでに社殿は大目付菊井の手の者によって取り囲まれていた。動揺する若侍たちを制して、三十郎は一人で社殿の外に打って出た。その時に出会ったのが、敵方の室戸半兵衛(豊川悦司)。彼は、三十郎が只者ではないと途端に見抜いて言葉をかけた。再び社殿に戻った三十郎は、九人の若侍に手を貸すことを決める。一同は夜陰にまぎれて城代家老宅へ向かうが、家老はすでにどこかに連れ去られていた。睦田夫人(中村玉緒)と娘の千鳥(鈴木杏)は監禁されていたが、三十郎は二人を救い出し、若侍の一人、寺田文冶(林剛史)の家にかくまった。寺田の家は、椿屋敷の異名を取る次郎席黒藤の家の隣だった。皆は城代家老の居場所を探し出すのに躍起で、三十郎は敵状を探るために室戸を訪ねる。三十郎を味方につけようとする室戸。それに乗ったふりをする三十郎をめぐる若侍たちの不和が、彼ら自身を窮地に追い込み、三十郎がそれを救うハメになる。やがて城代家老は、黒藤の家に監禁されていることが判明。三十郎と若侍たちは策略を練り、見事、城代家老の救出に成功する。そして室戸との一騎打ちに勝利した三十郎は、若侍たちを背に静かに去っていくのだった。