「パチンコ物語」のストーリー

舞台は二代続いた下町のパチンコ店、アサヒ会館。そこの一人息子の打田朝男は、パチンコのもつダーティなイメージと父国松のどんぶり勘定的経営を嫌って十年前に家を出て、大企業に就職してしまっていた。国松は店の売り上げを自分のポケットマネーのごとく使い放題で毎晩のようにクラブにくりだし、札束をばらまいて女達にいい顔をして喜んだり、腰のベルトにダイヤまでちりばめたりして成金ぶりを見せつけているのだった。一方朝男はエリートとしての自分の生き方に疑問を持ち始めていたところ、偶然学生時代の友人沢田に出会う。同じパチンコ店の息子でありながら沢田は、今は店を継いでいるというのだった。業界を生まれ変わらせようとしている沢田とその仲間達の話を聞いて、朝男は大会社の一歯車としての自分と比べて羨ましく思えてくるのだった。そして、店がマルサに踏み込まれて床下の隠し金がバレてしまい、そのショックで国松が倒れた事を機に、朝男は店を継ぐことを決心する。朝男はまず店を会社として登記し、経理をガラス張りにした。また、店の用心棒として長年国松が世話になってきた地元のヤクザ熊虎組との関係を打ち切った。さらに、業界の旧体制派が最も反対しているプリペイドカード導入にも積極的に動こうとした。せっかく息子が継いでくれると安心したのも束の間、驚いたのは国松であった。今までの国松のやり方を真向から否定する朝男の経営に親子の対立は深まるばかりだった。さらに店が熊虎組の殴り込みにあったり、国松のやり方に馴れてダラケきった従業員の反感を買ったり、朝男の前途はまだまだ多難のように見えたが、一年後、驚くほどファッショナブルな店に変貌した店は新装開店を迎えていた。結局対立していた国松も気まずさを残しながらも店に顔を出し、ようやく親子としての心をお互いに感じ始めていたのだった。