「脚光の影」のストーリー

ニューヨークの興行家ダニエル・ホフマンは春のシーズンの芝居の準備をしていたが、主演女優が余り我侭なので之れを馘首して代りにリッジー・ストークという娘を6個月みつちり芸を仕込んだ上、ロシアの名女優オルガ・ロストワという触込みで、舞台に立たせた。之れが大当りでリッジーのロストワは一躍劇界の寵児となって芝居は毎日大入を続けた。リッジーはある日公園でノーマン・ブルックと呼ぶ青年と近附きになったが、彼はかねてロストワの芸術に心酔していたので2人は勿ち親密になった。しかしリッジーはロシア人を飽までも装う事をホフマンに厳命されているので、ノーマンに本当の素性を打明けられず、相手はすっかり彼女を露国女優と信じていたため事情は妙に粉糾し始めた。2人の交際に気付いたホフマンは何とかして之を中絶させようと色々の手段を講じたが既に真実の恋に陥っている2人には何の效もなかった。かくて芝居も千秋楽の日となった。ホフマンは直ぐにリッジーを判ってイタリアへ旅行する計画だった。之を知つたノーマンは女に裏切られたのもと思って非常に悶えた。堪らなくなったリッジーは遂に恋人に真の自分を打明けた。無論彼女はこの告白が自分の恋の破局をもたらすことを覚悟していたが意外や男は彼女を許した。