「オリンポスの詩」のストーリー

冷い朝のシカゴ。賭けポーカーで朝がえりの下町ギリシャ人街の人気者マツーカス(アンソニー・クイン)が、美しいパン屋の未亡人アンナ(インガー・スティーヴンス)に声をかけて通った。彼は子供達にとって最高のパパだつた。原因不明の病気で寝たきりのスタブロス(ラダメス・ぺラ)は、よく話してくれるギリシャを夢見、いつかパパと行けると信じている。カウンセラーのマツーカスは無類の女好きでバクチ気狂いである。だからいつもお金に困っている始末である。久しぶりのバクチ大当りに御気嫌で帰ったマツーカスを待っていたのは、スタブロスの命があと僅かという悪い知らせだつた゜泣きくずれる妻カリオペ(イレーネ・パパス)を見、彼は決心した。スタブロスにオリンポスの丘を見せよう。だがギリシャ行の費用を借してくれる親友シセロは持病の悪化で死んでしまい、傷心のマツーカスはアンナを訪ねたが駄目だった。旅費の代償に彼の愛を求めたのだ。途方に暮れる被が思いついたバクチのイカサマも見破られ、皆に痛めつけられる彼は大事にしていたギリシャ人の誇りが音をたてて崩れていくのを聞いた。絶望し、うずくまるように帰って来たマツーカスを見て全てを悟ったカリオペは黙って金を出し、眠っているスタブロスを起し旅行の支度をした。金の出所はあえてたずねはしなかったが妻の気持が痛い程胸にしみた。その日ギリシャ行きの飛行機の中に、親子らしいひとりの男と可愛い瞳の少年が、嬉しそうに語り合う姿があった。