「男の名を言え」のストーリー

マン島の判事クリスチャン・ダグラス・ストウエルの息子ヴイクターと知事ジョン・スタンリイの娘フエネーラとはお互いに愛し合っていたが、ある日些細なことから口論を始め、一時の怒りにまかせ、恋人同志は喧嘩別れをしてしまった。ヴィクターは舞踏会の晩にふとした機会でベシイ・コリスターと呼ぶ娘と親しくなり、フエネーラに対する面当てでという心持ちも働くと共に、ベシイの憂鬱な面ざしにチャアムされ、遂に彼女と一夜の契りを結んだ。それを知った物堅いベシイの父親ダンは娘を放遂した。ヴィクターは彼女を庇って自分のアパートメントに伴って世話をした。ヴィクターの親友たる弁護士のエリック・ゲルはベシイに恋しヴィクターにそれを打ち明けた。ヴィクターは元来フエネーラを愛しているのでベシイをエリックに譲ることに異論はなかった。しかしその時すでにベシイはヴィクターの胤を宿していたので煩悶の結果両親の許に戻って男児を産み落とした。そして貧困の余り嬰児を殺してしまった。かくてベシイは嬰児殺しの罪で法廷に立たねばならなかった。しかも飽くまでも皮肉な運命はヴィクターを裁判長の席に着かせた。エリックは愛するベシイのために起こって弁護したがベシイは終に死刑の宣告を受けた。ヴィクターは良心の呵責に絶えず自ら罪を天下に公表して法の裁きを受けた。2年の後出獄したヴィクターを迎えたのはフエネーラだった。彼女は心正しいヴィクターを真に理解し愛したのであった。ベシイも法の慈けに赦され相愛のエリックと結婚することが出来た。